武田百合子全作品 4
武田百合子全作品 4 / 感想・レビュー
きゅー
作家の武田泰淳は妻の百合子などとともに、約1ヶ月間をかけてロシアを周遊するツアーに出かけた。泰淳は百合子に、この旅行のことを日記に書き留めておくよう言い含め、そうして出来たのが本書。これだけページ数もあると飽きてきてしまうのではないかと危惧していたが、杞憂だった。旅先の風景などは二の次、三の次で、彼らメンバーのバカバカしくも、生々しい奇行に笑わされっぱなしだった。特に武田泰淳の愛嬌あふれるダメ人間さはなかなかのもので、旅の前半はとにかく朝から晩まで酒を飲んでいる。
2020/02/20
ポテンヒット
タイトルからは分かりにくいが、ロシア旅行記。昭和44年に武田夫妻と竹内好がツアーに参加している。日記形式でその日の行動や食べたものを淡々と書いているが、車窓から見える景色や地元の人とのちょっとしたやりとり、乗り継ぎでひたすら待ち続ける疲れなど旅の空気を感じとれる。同ツアーの参加者である錢高老人が旅の良いスパイスになっており、職業柄か建築物や足場などをよく見ている。「わし、何でここにおるんやろ」こんな風にふと我に返る気持ちも分かる。北欧にも行っているが、何かと不便で整っていないロッシャの方が楽しそう。
2023/09/12
たま
この時代の男女の。百合子さんの可憐でありながら強く。この題名を不思議に思っていたけれど、なるほどと
2020/02/26
へへろ~本舗
ロッシャ(銭高老人風発音)旅行記。素直に書いている感じで、ちょっと意地悪なことも、喧嘩しそうになったことも、我儘なやりとりも書かれている。印象に残ったのは銭高老人。大阪のお大尽で名字が銭高って、ひょっとしたら銭高組の偉い人かな?と思ってぐぐったら、やはり銭高組の会長だった。あと、中央博物館での汽車のかまに入れられて殺された青年の話、そしてブハラの砂漠で手の甲の毛を抜きあってた男二人の話も印象に残った。ゲイ発見談がチョロチョロと出てくるね。
2014/03/24
あきこ
百合子さんの本はとても面白い。富士日記でハマってしまい、2冊目だ。今回も何と言うことのない日記なのだが、作者の物事の観察、出合った人々とのこと、ご主人への気持ちが、文章のなかに生き生きと感じられる。百合子さんという人の持つ天性のなしえる業、としかいえない面白さが今回も盛りだくさんだった。
2011/05/02
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