谷崎潤一郎全集 - 第十三巻
谷崎潤一郎全集 - 第十三巻 / 感想・レビュー
まぶぜたろう
「黒白」自選全集には収められていないそうだが、さもありなん、無茶苦茶に変。だが無茶苦茶に面白い。■谷崎を思わせる作家が知人を殺すという小説を書くが、モデルとした知人がもし本当に殺されてしまったら、自分が疑われると思いはじめる。変でしょ。■メタ趣向が面白く(途中で尻つぼみ)、神経症的な振る舞いはハイスミス流(後先逆だが)。その後突然、全てを忘れて娼婦を巡るハイカラ趣味のスラップスティックがはじまり、筒井康隆風の(後先逆だが)ブラックな不条理コメディで終わる。谷崎らしからぬギクシャクぶり、変さが素晴らしい。
2022/11/09
訪問者
この巻も再読であるが、「黒白」ば実に妙なところというか、はなはだ嫌なところで終わっている。そして「卍」は数ある谷崎作品の中でも異色作と言ってよいだろう。それにしても本全集もやっと13巻まで読み進んできたが、これでやっと全26巻の半分である。まだまだ先は長い。
2019/08/01
nranjen
図書館本。『黒白』を読むために借りた。実在する人物の殺人を題材にした小説を書いている作家、水野はある夜、銀座のバーでドイツ大使館のタイプライターを名乗る妙齢のモダンガールと出会う。日本人離れした大胆なその女性と愛人契約を結び、無我夢中の日々?を送っていた彼は、突然自分が書いた小説そのまま殺人が起こったことに気づく。現実と虚構が入り乱れる、不確かな境界線が奏でる怪しい世界。バルザックやトルストイ、フランスのような部屋など、洋行帰りのモダンガールと異なり、作家や編集者の頭の中で展開されている西洋が面白い。
2021/08/21
訪問者
再読だが、暑い中読む谷崎潤一郎もまた格別である。「黒白」は谷崎をモデルにしたような作家の放埓な生活が描かれるが、最後が気持ち悪いシーンで唐突に終わる。何度読んでもこの終わり方には吃驚する。「卍」は大阪弁の女語りによる同性愛物と言う、百合物の元祖というべき作品であり、谷崎潤一郎の数多い傑作の1つ。
2023/08/17
ろくしたん
谷崎は、あらすじだけ聞いた方が面白いことが分かった。
2021/03/25
感想・レビューをもっと見る