谷崎潤一郎全集 - 第二十四巻
谷崎潤一郎全集 - 第二十四巻 / 感想・レビュー
まふ
「瘋癲老人日記」を読む。初読。谷崎はその文体と描く世界等が我が趣味に合わず、これまで殆ど忌避してきたが、G1000に入っているためやむなく読んでみた。ところが、主人公の年齢も現在のわが身レベルであり、英国19世紀の文学作品的家族設定も違和感なく、カタカナ文も日本の旧陸海軍の将軍の日記のようで妙にアンバランス的に小気味よく、面白くて一気に読んだ。「異常性欲」というまさにフーテンの世界である。仏足石への執着が笑わせて面白い。多かれ少なかれこの作品は谷崎自身の告白記に近いと思う。G1000。
2023/06/29
訪問者
この巻で小説としての谷崎作品は終わりである。もちろんここまで来たら26巻まで読破するつもりではあるが、それにしても「瘋癲老人日記」は谷崎ならではのすごい傑作である。最後の最後になってまだこれだけの作品が書ける谷崎は本当にとんでもない天才であった。
2019/08/22
訪問者
谷崎潤一郎再読の旅も終わりである。この巻には谷崎の最後の傑作「瘋癲老人日記」が収められている。あの奇跡のような「細雪」を書いたあとで、「鍵」と「瘋癲老人日記」という、ある意味とんでもない作品を書いた谷崎は本当に途轍もない作家だったのだなとつくづく感心する。
2023/09/26
ひこちん
瘋癲老人日記、四季、台所太平記、雪後庵夜話、京羽二重、おしゃべり、79歳の春を昭和43年の全集で読んだ。瘋癲のみ再読。太平記、初との別れはしんみりさせるし、抱腹絶倒させる場面もあり、娯楽小説を書いても上手い人は上手い。「老人になってなおかつ若い作家には真似のできない小説を書いていた谷崎潤一郎は、やはり大天才の名に恥じない人です。」と倉橋由美子が偏愛文学館に書いていた。
2019/09/04
MatsumotoShuji
いろんなところが衰えるのに連れて性欲も衰えるものだと思っていたのに、実際はむしろ逆だった。なんて、誰も聞いていないことを告白したくなるような小説。高いのか深いのかよく分からないけれど、晩年の谷崎、すごいところまで来ちゃったなあ。「太平記」にも震える。文学の極致じゃなくって、到達点のむこう側みたいな感じ。
2016/10/19
感想・レビューをもっと見る