ドストエフスキイ その生涯と作品 (NHKブックス)
ドストエフスキイ その生涯と作品 (NHKブックス) / 感想・レビュー
ももたろう
罪と罰について。「夢にも想像しなかった思いがけない感情が彼の心を苦しめる。孤独感、人類との断絶感が。」自分の思想とそれを現実に移すことによって生じる結果を想像できなかったラスコーリニコフは、現代日本の若い人達にも共通しているのではあるまいか、と思った。ラスコーリニコフは、魂の面でソーニャに責められ、理論の面でポルフィーリィに責められたと言う指摘も面白い。スヴィドリガイロフはラスコーリニコフの分身であると言うのも頷ける。スヴィドリガイロフはアヴドーチャを手に入れる妄想を抱いていたが、叶わなかったのはまさしく
2019/07/07
pushuca
埴谷雄高なので構えて読んだが、分かり易く、標準的なドストエフスキー論になっていると思う。
2024/05/15
りんご
「死霊」を書くほど,ドストエフスキーに傾倒した埴谷さんのドストエフスキー論。前に読んだ,佐藤優さんとは全く視点が違うのが面白い
2021/11/08
tokiniwa
五大長編のうち未成年を除いて説明があり、これからの読者には良本である。作者も記しているが、平素に書かれている。ドストエフスキーというと哲学的にいかに深淵であるかが強調される。その通りであるが、ドストエフスキーにあまり引っ張られすぎない方がよい。少し距離を置いて読むこと。彼の悩みの渦に飲み込まれるようなら毒となってくるだろう。悩みを開示してくれていると言えるだろう。人生は異常なことが続く訳ではない。日常を生き抜く力をつけていくことが肝要だ。健全な文学というものも世の中にはあり、バランスよき読書が求められる。
2014/04/05
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