日本人の心情: その根底を探る (NHKブックス 424)
日本人の心情: その根底を探る (NHKブックス 424) / 感想・レビュー
うえ
生や死について論じる本。例えばフロイトが死の領域について性の領域ほどには論じなかったことを述べた上で、乃木希典の殉死を取りあげる。白樺派は愚行として冷笑を浴びせたが、鴎外と漱石は違った。鴎外は『興津彌五右衛門の遺書』を書いたし、漱石は『心』(後にこころ)で先生の心情に託した。そうなのだ。漱石の場合余り論じられなくなってきたが近代人である前に「近代以前」の人でもあるのだ。本書は殯について検討していき、折口招魂説と五来鎮魂攘却説を比較し、日本霊異記に於ては折口説が妥当すると述べる。その後、犬飼公之に言及する。
2019/06/07
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