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エドガー・ソーテル物語

エドガー・ソーテル物語

エドガー・ソーテル物語

作家
デイヴィッド・ロブレスキー
金原瑞人
出版社
NHK出版
発売日
2011-08-25
ISBN
9784140056042
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エドガー・ソーテル物語 / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

三代続けて、精神・能力共に気高いソーテル犬を生み出してきたソーテル家。優しく、思慮深いエドガーは口が聞けないが、理解者である両親と犬に寄り添えた生活に満ち足りていた。父と不仲の叔父クロードが帰ってくるまでは。この物語は『ハムレット』を下敷きにしている。最も私は若さ故の潔癖で周囲に災厄をばら蒔いているとしか思えないハムレットは嫌いなのだが、この物語のエドガーはまだ、好感が持てます。それはエドガーを助けてエドガーに内省を促せるヘンリーの存在があったからだろう。そして毒を手にしたクロードの追い詰められ方は虚しい

2017/09/05

星落秋風五丈原

この物語は、古典的な作品がベースになっている。しかし、オリジナルが人間のみのドラマであるのに対し、本作は犬が絡んで来る。多視点で描かれる本作では、時に彼等も主役を張り、時に主人公の行く末を決定づける。そして、言葉を持つからこそ不器用にぶつかりあう人間の営みを、ただ思慮深く見つめ、彼等に寄り添う。オリジナルでは、ある王国が舞台だったが、独自の性質を持つ犬を三代にわたって育ててきた一家もまた、一種の王国である。その総帥が突然亡くなり、残された妻と息子、父の弟、その友人達の関係が捻じれてゆく。

2013/12/02

みー

とても重厚で、余韻深い物語であった。ハムレットを土台としているとの事で、この物語の行き着く先の悲劇を分かりつつ読み進めることとなるが・・心のどこかで、悲劇ではない結末を期待してしまう。それくらい、少年の心情や背景がとても丁寧に掘り下げられ描かれており、また彼らと共に生きる犬たちが逞しく愛おしいのだ。未来に踏み出される、ソテール犬の力強いその一歩は人間の及ぶ処ではないのかもしれない・・。表紙の絵が物語とマッチしているのも素晴らしい。その内容を噛み締めるように、1ページ1ページを大切にめくって読んだ・・・

2014/10/03

39@中四国読メの会コミュ参加中

物語全体をほの暗い雰囲気に包まれていて、2部以降からは読んでいて悲しいというか切ないというか…。人間同士の複雑な関係や様々な思惑の絡み合い、対して犬との絆・信頼も丁寧に書かれていてこの世界にはまりこんでしまった。読み終えた時は、なんとも言えない余韻が…。ただ始まりのあたりは中々話が進まずに読んでいて、しんどくなったりもしたけれど。

2012/09/14

ミグ

ソーテル犬としか呼びようのない特別な犬を生み出すブリーダー3代のお話。口のきけないエドガーとアーモンディンの信頼関係はすばらしい。アーモンディンが語り手になっている章など聡明さや人間への信頼があふれていて、あまりの真っ直ぐさにこちらが苦しくなるほど。エドガーが家出を余儀なくされてから帰還する時人生とは運と偶然の川を泳いでいるようなものだ(P606)と悟っている所に大きな成長を見た。長いが5部で緊迫の結末を迎えて辛すぎるなぁと思いましたが、ひたすら本の世界にひたれて幸せな時間を与えてくれてありがとうと思った

2012/05/30

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