どこへ向かって死ぬか
どこへ向かって死ぬか / 感想・レビュー
寛生
【図書館】本とのご縁を改めて信じさせてくれるとしたら、今年はこの本との邂逅。若松が本が《私》との出会いを待っていてくれるというような事を言っていた事を思い出す。独特の音色を放ち、大きく今の自分に響く。著者が森有正について書いた物だが、森についての解説書を探していた訳ではなく、「どこへ向かって死ねばいいだろう?」とタイトルに引き寄せられたと言った方がいいだろうか?冒頭からハイデガーを始めとする、デリダなどがいう《自らの死への不可能生》について言及し、「死の不可能性とは、生の不可能性」ではないかと言い放つ。
2015/12/07
禿童子
小説家・片山恭一が、森有正のパリでの「経験」を探求する試み(第一部はNHKの番組テキストに加筆)。パスカルから出発してデカルトの合理性の「破れ」に逢着したという見解。片山さんの「神」・「死」・「自由」に関する考察はうなずけるものもある。引用:「非人間らしさ」の側に置かれた者には、それに対比される「人間らしさ」の欺瞞性が良く見える(クジラとマグロの問題に関して)、など。しかし、その反面、日本人の信仰や精神を表面的にしかとらえていないのではないかという疑念が脳裏から離れない。
2016/01/04
you1
森有正と紀行文で終わるのかと早合点しそうになったが、最終章にものすごい片山恭一のエッセンスが詰まっている。読み返してみれば、柔らかい文体に紛れてけっこう辛辣な意見があったりする。一冊としてはまとまりに欠けるけど、そういう気づきはいっぱいあった。
2011/07/02
久美
今、あえて「森有正」に言及する意味。片山恭一さんとはこういう人だったのか。天邪鬼になってなんとなく敬遠していた「世界の中心で~」を読んでみたくなりました。
2011/06/17
あまたあるほし
片山恭一。勝負の作品かな。森有正読もうかな。
2010/10/24
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