奇想の20世紀 (NHKライブラリー 179)
奇想の20世紀 (NHKライブラリー 179) / 感想・レビュー
遊々亭おさる
19世紀末から20世紀初頭の世界は明るい未来を予測し、無邪気に夢に向かって邁進できた時代であったという。「明日は今日より素晴らしい」を実現すべく、産業・経済・娯楽などありとあらゆる分野で輝かしい未来へ向けて驀進し、それを実現していった歴史が語られる。翻って21世紀を生きる我々は未来を予測し明るい明日を希求する力を持ち得るのだろうか、というのが著者の問いかけ。何だか昭和30年代と現代の日本人の比較みたいで世界は大きいようで小さいな。人間は万能ではないという事実を知った現代人が語るべき未来とはなんだろうか。
2016/02/06
tei
ちまちまと1ヶ月ほど掛けて読了。荒俣さんだからこその多角的視点から、万博を中心にした文化の遷移について、未来を夢想した人々に関連した興味深い史実の紹介を交えながら考察する一冊。元がNHK講座のテイストということもあり、各章がよくまとまっていて読みやすい。何がその時代に生きる人々を突き動かしたのか、考えるきっかけになる気がする。参考文献も膨大なので、いつか当たりたい。
2019/07/22
小林ミノリ
20世紀の初め未来予測がブームであった、ロンドン、パリの万国博覧会にて提示されたその当時の最先端の技術や文化から予測する21世紀の在り様、当たっているものも外れているものもあり、歴史の偏光レンズを通して幻視する奇想の過去、幻の未来。
teajay
荒唐無稽な願望と科学する理性の併存が二十世紀を形作ったという視点が面白い。博物学マニア荒俣さんならではの豊富な事例が楽しい。
momen
1900年前後の様々な技術革新や、それを享受するようになった人々の移り変わりを解説した本。今までになかった技術やエンタメが次々生まれ、そして伝統を打ち壊す人のエネルギーも高まっていく。乗り物・万博・建築・芸術・食事などジャンルごとの解説が簡潔にまとまっていて読みやすい。当時の様子を描いた絵や写真などの図版も多数。20世紀は未来予測を科学的に行え、また未来に対しての希望があったという記述が印象深い。
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