読書からはじまる (NHKライブラリー 211)
読書からはじまる (NHKライブラリー 211) / 感想・レビュー
やすらぎ
本を愛する言葉がたくさん詰まった一冊。人生の最初の一頁。行間を読む。一巻の終わり。本を表す言葉は人間の生き方そのもの。…豊かな世界への入り口となる本。たった一冊の中に作者の経験や記憶が詰め込まれ、読者はそれを受け取り、心に沁みる言葉を蓄積する。そして培われていく感受性。その体験を繰り返すことで人生は充実の時を刻み続ける。ひたすら読む。じっくり、ゆっくり、耳を澄ますように、心を澄まして言葉を読んでゆく。この感覚を対人に求めることは難しく、読書特有の力である。心穏やかに本と向き合い、深みのある人生を送りたい。
2021/12/21
KAZOO
題名は読書についてということですが、世間に氾濫しているような一般的な読書ガイドという本ではなくて、読書ということについての根本的な問題をある意味では哲学的な話を著者のわかりやすい言葉で語りかけてくれます。読書に関してのハードウェアとしての身体のことなどに触れたり、レコードとCDの関係を読書の観点から論じてみたりある意味読書の本質論をいわれている気がします。いい本です。再読したくなります。
2016/09/03
モリー
再読。何度も読み返して味わいたい一冊です。今回は、線を引いた箇所のみ。以下、引用。「子どもにはこういう本、大人にはこういう本、老人にはこういう本というような考え方は、私たちにとっての本の世界をすごく狭く小さなものにしてしまう。とりわけ、壁で囲むような読書のすすめ方をすると、肝心のものを落っことしてしまいかねないのが、子どもの本という本だろうと思うのです。そんな閉じた読書のしかたではなく、何を読んでもいいが、心を自由にするために読む。そうして本というものを、お互いを隔てるのでなく、おたがいが落ちあえる↓続く
2020/06/14
モリー
逆説的な言い回しが多く、ページを行きつ戻りつしながら読み進めた。例えば、「読書というのは、「私」を探している本に出会うという経験です。(中略)のぞむべきは、本は「私」の友人、というあり方でなく、「私」は本の友人、というあり方です。」私を探している本と出会うため、今日も私は図書館に行って来ました。その図書館について、著者は「ありうべき「図書館」というのは、ただの建物なのでも、ただのシステムでも、ただのサービスでも、ただの行政の一環にすぎないものでもありません。(中略)人びとの記憶の庫としての「図書館」→続く
2019/02/16
たかやん
"情報"と"情報でないもの"を対比させながら、「読書の在り方」あるいは「ヒトの在り方」を易しい言葉で問いかける。易しい言葉だからこそ"むずかしい"。"難しい"じゃなくて"むずかしい"。心にひっかかる言葉であふれているものの、眩しくてまだ僕にはよくみえない。途中に「本は読まなくてもいいが、本を読みたくなるような生活をたくらむことが重要(p61)」というような文章が出てきますが、読書メーターはまさにそんなたくらみの一つになっています。
2018/06/19
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