人はひとりで死ぬ 「無縁社会」を生きるために (NHK出版新書)
人はひとりで死ぬ 「無縁社会」を生きるために (NHK出版新書) / 感想・レビュー
どんぐり
日本人は、地縁、社縁、血縁という「縁」に囚われている。死んだのちまでも無縁仏とか、無縁墓地があって、そして死に方にまで「無縁死」という言葉で縁を持ち出す。無縁死には孤独死がつきまとい、さびしく、みじめで、あわれなといった臨死期の状態が反映されて、まるでそういう死に方をしちゃいけないよ、と言っているかのような訴求力がある。メメント・モリ。死はみな平等にありながら、「死に方」に恐れを抱くようになったのはどういうわけか。本書は、「無縁死」が生れた背景には、多くの人間がサラリーマンになったことにより「無縁社会」の
2017/02/20
カッパ
自由にするのか、縁を持つのか??? どちらを選ぶのか?しかし、無縁は悪いことではない。それをもとめて社会にでた時代もあったからである。縁をしらない時代であるためわからない。緩やかな縁も現代では用意されている。ネットもそのひとつだ。両方をバランスよくもっておきたい。
2018/05/07
ふくいち
「多くの日本人が無宗教を標榜するなかで(うん,自分もそうだ)いかに現代における生と死を考えて行くのか」。母の死に際に立ち会えたということは自分なりには満足している。残る父を孤独死させたくはない。しかし,自分が死ぬときには無縁でもよいと思っている。妻とどちらが先に死ぬのか,子供たちが,主に仕事の関係だろうが,どこに住むことになるのか。まさに本書が述べる「自由と豊かさを求めたことによる無縁社会」を肯定し,なるがままを受け入れる。それで良いじゃないか。
2018/03/16
おせきはん
村社会から離脱して自由を求めてきて、無縁社会化した過程を歴史的に解説しています。孤独死については、自由を追求した結果、人間関係が希薄化してきた状況を考えると、やむを得ない側面もあるのでしょうが、外国の事情も知りたいと思いました。障子紙や板ガラスが導入されて部屋が仕切られるとともに自由に外を見られるようになり家の外側の世界への関心が強まったことが、若い世代が都会の新しい世界に憧れるようになった起点であるとする柳田國男の考えは興味深かったです。
2016/12/22
荒野の狼
一人暮らしの人物が、死後、しばらくして発見される、いわゆる“孤独死“の原因は、毎日、接触している人があまりいないという状況(”無縁社会”)で生じうるが、こういった現代の“孤独死” “無縁死” “ 直葬”といったキーワードを核に出版された本。上記のキーワードは、ネガティブなイメージで紹介されたり、解説されることが多いが、この本は、ポジティブな側面も議論しておりユニーク。なかでも、ヒンズー教の理想の死に方とされるものと、無縁死とは極めて近いという指摘は宗教学者ならではのもの。
2012/07/06
感想・レビューをもっと見る