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歌謡曲から「昭和」を読む (NHK出版新書)

歌謡曲から「昭和」を読む (NHK出版新書)

歌謡曲から「昭和」を読む (NHK出版新書)

作家
なかにし礼
出版社
NHK出版
発売日
2011-12-08
ISBN
9784140883662
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歌謡曲から「昭和」を読む (NHK出版新書) / 感想・レビュー

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いりあ

なかにし礼の歌謡曲史に関する考察をまとめたものです。Eテレの"佐野元春のザ・ソングライターズ"に出演した時の話がベースになってます。歌謡曲の歴史や産業など多面的に書かれています。歌謡曲シーンの第1線で活躍していた人だからこそ、ここまで書けるんだと思います。本書の定義である"歌謡曲=ヒットをねらって売り出される商業的な歌曲"という前提であれば、特定のターゲットだけを狙った昨今の歌曲は歌謡曲ではないし、これらを培ってきた土壌が崩壊してしまった今、新たな歌謡曲が生まれる可能性もないというのは同意です。

2013/02/18

takuchan

いくらでも再生がきき、だれもがいつでも享受できるような現代の歌のほうが、「うた」としてはむしろ特異なものであることを、私たちは知っておくべきではないだろうか。/ 本書内で具体的な曲名を挙げているが、youtubeでそれらの曲を聴きながら読むのがオススメ。「星の流れに」は特に戦後の日本人の状況がリアルにわかり素晴らしいと思う。そして、軍歌を避けずに一章を割いて扱っているところが特筆すべき点。軍歌の政策に携わった作家たちを「書いてはならない場所というものがある」と指摘している。

2014/10/18

Natsuhiko Shimanouchi

歌謡曲とは昭和にしか存在しえない特殊昭和現象だったとする筆者。社会背景とあわせ、昭和という時代によりそった歌謡曲の軌跡。自分自身歌謡曲の最前線にいた筆者ならではの視点で語られるので新鮮で面白い。戦後の歌謡曲は軍歌が培ったインフラの上に花咲いたとか、なるほどと。そう、僕が好きなのもJ-POPじゃなく歌謡曲なんだよな。

2012/02/20

タイコウチ

個人的な逸話を語るエッセイかと思いきや、思いのほか本格的な昭和歌謡史の検証であり、最前線で活躍していた自負をちらつかせつつ、時代の社会状況(軍歌が戦後の歌謡曲の勃興の下地を作った)や産業としての歌謡曲の分析など、全体にバランスのとれた記述で、当事者ならではの洞察と共に諦念がにじむ。洋楽の影響について、自分も含め若い世代の単純な進歩史観のあやうさを突かれる思いがした。昭和と共に歌謡曲は終わったというのは、いかにも紋切り型ではないかと思いつつ読み始めたが、読み終えて異論はない。40以下の世代に通じるだろうか。

2013/01/30

筋書屋虫六

歌謡曲を通してみる文化論。「昭和」の時代に最前線でヒット曲を飛ばしてきたなかにし礼さん。その見識の深さは、自らが闘って来た相手を分析する目なのかもしれない。軍歌と流行歌のことを説得力をもって語れる数少ない書き手だと思う。今のヒット曲の作家達が時流にながされてマインドコントロールの先鋒を担ぐことがありませんように。

2018/08/30

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