資本主義の極意 明治維新から世界恐慌へ (NHK出版新書)
資本主義の極意 明治維新から世界恐慌へ (NHK出版新書) / 感想・レビュー
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
マルクスの「資本論」、宇野の「原理論」を基に資本主義とは何かを論じた本。日本の資本主義の芽生えから、現代におけるその変貌まで。持論を展開するというよりは解説が中心だが、非常にわかりやすく説明されている。「資本主義が継続する為には、恐慌か戦争が必然である」という記述にドキリとした。資本主義が定着し、発展するには「労働力の再生産」、つまり人口が増え、子供達がきちんと教育を受けられることが必要なのだが、今それが出来ないほどに労働者への資源配分が低下している。日本の資本主義は危機なのではないかと感じた。★★★★
2016/07/08
kawa
良書。「資本主義を日本近代史から読み解く」をテーマに、マルクス経済学と資本論を独自に体系化した宇野弘藏氏の理論に基づく資本主義に関する論考。私的には日本近代の経済史がクリア-に理解できてラッキ-。この手の書籍ではシンプルかつ解りやすい内容、今まで読んだ本のなかでピカイチ。ところで佐藤流の資本主義社会、生き抜き極意は当たり前すぎてズッコケてしまうのだが、この「当たり前」が難しいのかも知れない。ほぼ・リタイアおやじとしてはそのゴールが目の前だが、荒波を乗り越えていかねばならない若者にはお勧めしたい一冊。
2021/07/17
非日常口
著者は「今生きる資本論」「今生きる階級論」で宇野の原理論と段階論を集中的に講義したが、本書は明治以降の日本で資本主義が導入され政策と共に戦争に向かう過程を「日本史A」を使い考察する。そこから類比し、グローバリズムや大なり小なりで散見され出す安っぽいファシズムなど現代の問題を歴史から読み解くエクササイズにもなっている。姉妹本『世界史の極意』では、ナショナリズムを素地に世界史に触れ、本書は日本に焦点を当てる。歴史をいかにニュースや事象に活用するのかという方法と、学校でなぜ歴史を学ぶのか、その意義が理解できる。
2016/01/16
Yuma Usui
日本の資本主義の変遷を明治維新以降の歴史に伴い解説。宇野経済学の三段階論(原理論、段階論、現状分析)を元に日本の資本主義社会を分析している。イギリスやドイツなど、他国が資本主義をどのように取り込んだのかを引用しつつ日本の特異性に触れながら解説している。価値と使用価値の違い、商人資本→産業資本→金融資本の移り変わり、資本主義は労働力が偶然商品化して生まれたという説、などが印象的だった。資本主義社会を個人はどのように生き抜くべきかという話は当たり前のような内容ではあるが大切な事と感じた。
2021/12/02
ひろき@巨人の肩
Febeにて。資本主義を切り口に近代を俯瞰的に解説した本書。資本主義経済は、恐慌と帝国主義、イノベーションのサイクルを繰り返しながら、格差を拡大して労働者を翻弄する。資本主義に取って代わる社会は見出せていないが、資本主義が最良の解ではないと実感する。その中で労働者である自分はどのようにあるべきか考えさせられる。マルクス経済学と宇野経済学は是非、学んでみたい。
2017/04/21
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