試験に出る哲学―「センター試験」で西洋思想に入門する (NHK出版新書 563)
試験に出る哲学―「センター試験」で西洋思想に入門する (NHK出版新書 563) / 感想・レビュー
trazom
「試験に出る哲学」というから、バカロレアの哲学の問題のようなものだと思っていたから、本書の内容には驚いた。掲載されたセンター試験20問は、単なる「哲学史の知識問題」。しかも、問題は余りにも簡単で、これなら世界史や日本史の暗記に必死になるよりも、よほど効率的に点数が稼げること請合いである。高校では、こんなものを哲学だと教えているのかと背筋が寒くなってくる。そのことへの反発もあって、著者は、この本を書かれたのだろうが、でも、今更こんな概説を読むくらいなら、それぞれの原典ともう一度格闘する方がよほど意味がある。
2019/03/12
Kentaro
後期ウィトゲンシュタインを代表する「言語ゲーム」とは、たとえば「やばい」という言葉で考えると説明しやすい。やばいという言葉は、ある場面では「すごい」の意味で用いられるし、ある場面では「まずい」「危ない」の意味で使われる。私たちは、「やばい」の多様な意味をあらかじめ知っているから、いろんな場面で「やばいね」を使い分けているわけではない。 日常生活のなかのさまざまな場面で、さまざまな他者との会話に触れることを通じて、「こういう場面では『やばい』と言えるのだな」ということを知り、自分でも使えるようになるわけだ。
2020/02/24
壱萬参仟縁
BOOKOFF+にて購入。270円はよかった。東洋編も買おうかな? 私と同い年の著者。某試験結果はF1であとわずかだったがアウト。キュニコス派(犬儒派)は、自由で自足的な犬のような生活を理想視していたことから(78頁)。私も、老子のような逍遥遊、上善は水の如し、柔弱謙下。そんな犬儒派や無為自然を理想にしたらいいかもしれない。ソクラテスは本を1冊も書いていない(40頁)というのは、プラトンやアリストテレスの本を勉強しないといけないことの裏返しだろう。
2020/09/13
おさむ
万人向けでわかりやすい哲学入門書。Z会で編集者をしていた著者だけあり、センター試験の高校倫理の問題をベースに、様々な哲学のあらましを紹介する。デカルトやカント、キルケゴールなど漠然と知っている哲学者たちの学説がよく理解できました。個人的にはフランシスベーコンとニーチェ、サルトルの考え方に惹かれます。さらに詳しく勉強したみたい気持ちにさせてくれる良書でした。
2019/06/05
ころこ
「倫理」という科目のセンター試験で出題された選択式の20問の問題をダシにして、哲学史をまとめています。なぜ文科省は「倫理」と付けるのか。本書のタイトルは「哲学」「思想」となっています。類書で思いつくのは熊野純彦『西洋哲学史』ですが、想定される読者に対する効果は本書が優れています。読者の理解に引っ掛かり易いように、全体の見取り図や類似の比較、問題を使った原文の引用、箇条書きなどの工夫がされています。事実、気の利いた表現による再発見が幾つもありました。読書時間も熊野本2冊と比べると5分の1でしょう。
2018/10/07
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