「かなしみ」の哲学 日本精神史の源をさぐる (NHKブックス)
「かなしみ」の哲学 日本精神史の源をさぐる (NHKブックス) / 感想・レビュー
ken
――悲しみは避けられない—— それは頭ではわかっているけれど、一方で僕たちはこうも思っている。 ――できれば悲しみたくはない―― 悲しむことを恐れ、悲しみを誤魔化し、悲しみから目を背け続けるのが僕たちだ。 だけど、もし「かなしみ」に意味があるとするならば。 いや、「かなしみに意味がある」と信じることができるならば。 その時、僕たちは、人生のある時期に味わうという「かなしみ」とともに、人生を生き抜くことができるのではないだろうか。
2022/06/04
宮古
宮沢賢治の「かなしみ」にふける。私も食物連鎖の外にいる人間が、その人間の一人である自分が、嫌になることがある。でも生き物を殺して食べなければ私たちは生きていけない。でも人間中心主義的な生き方がいいとは思わない。難しい…。 狩猟があったころは人間と動物が対等の関係にあったけど、そんな時代にはもう戻れるわけがないですしね。
2014/11/23
RINA
「かなしみ」は否定的に捉えがちだが、もっと肯定的に受け入れてよいものだと感じた。本来厭うべきこの感情への見方が大きく変わった。
2011/04/21
新地学@児童書病発動中
日本の文学や思想、宗教に現れる「かなしみ」という感情を通して、日本人の美意識や倫理を考察したもの。あまり西洋の哲学に触れずに、議論を深めていく手際は新鮮だった。「私」という存在は一回限りのものであること。逆に「世界」は無限であること。このギャップにかけられる心のあり方が、著者のいう「かなしみ」なのかもしれない。
2010/12/21
kojisec.
タイトルが「悲しみ」や「哀しみ」じゃなくて「かなしみ」というところがミソ。万葉の時代から近代文学に至るまで、さまざまな文献で使われてきた「かなしみ」という言葉の諸相を捉えていく。ちょっとした古語の復習みたいになった。できれば高校生のときに読みたかった。
2010/02/23
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