日本的想像力の未来 クール・ジャパノロジーの可能性 (NHKブックス)
日本的想像力の未来 クール・ジャパノロジーの可能性 (NHKブックス) / 感想・レビュー
白義
第一部シンポジウムが「未成熟」を中心にポップカルチャーを語るというのは通俗図式すぎてこれはダメ感が満載では、という懸念を抱かせる目次だったが内容はしっかり日本のポップカルチャーの、成熟という強迫観念への批判やそもそも成熟概念自体の無化などより肯定的、相対的な側面にも踏み込んでいて思ったよりは悪く無い。また、村上隆の美術プロデュース法解説は涙ぐましい努力を感じさせて裏側を知って得した気分になった。第二部はクール概念の解説は間違っていない気がするがどうも討議の噛み合わなさに閉塞感がある。論点のたたき台的な一冊
2015/10/21
おおかみ
「日本のサブカルチャーが海外で注目されている」と言われて久しい。今日の朝刊にもそのような記事があった。河野至恩は本書が記録するシンポジウムの目的に関わって、"「クール・ジャパン」をめぐる言説を更新したいという思い”があったと述べている(260頁)。その願いが成就する第一歩となり得るだろうか。欧米の日本研究者のプレゼンテーションは貴重だし、宮台真司らも「クール・ジャパン」の本質に迫る重要な視座を提供している。それぞれの議論が今後いかなる発展を遂げるのか期待大。
2010/10/06
tetuneco
何のためにこの本を買ったのか、全く思い出せない。
2011/04/28
たばかる
日本の「クールな部分」つまりサブカルチャーの面と社会的な関わりを述べたシンポジウムをまとめたもの。画期的だったのは、アメリカで日本文化を教えている大学教授がアメリカ人で日本のサブカルに興味を持つ人たちの視点を考察している点だ。アニメなどに「クール」をもたらすエクゾチックな性質のみに惹かれたためにその文化的背景を後から知ろうとする傾向にあるのだとか。また村上隆の近代アートのプロデュースや黒沢清の日本映画の評価などといった芸術的なものの世界的な受けを見知れたのはいい経験だった。特にホラー映画における淡々とした
2018/07/10
onaka
日本のポップカルチャーを、沈滞する産業・経済に対する起爆剤として動員するのではなく、成熟への要請を拒否し社会的文脈を無関連化するための機能とまず捉えること。その上で、オタクのトランスナショナルな拡大・連帯に、ポストモダンにおけるオルタナティブな主体形成の萌芽を見るべし。ナショナリズムにからめ取られない、新たなクールジャパノロジーの提示は刺激的かつなるほど感あり。
2010/09/24
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