夏目漱石『こころ』 2013年4月 (100分 de 名著)
夏目漱石『こころ』 2013年4月 (100分 de 名著) / 感想・レビュー
長谷川透
番組自体もこのテキストも大変よかった。姜尚中の『こころ』を巡る解釈は一般的にもよく知られているものばかりで、目立った新しい発見はなかったのだが、彼の『こころ』への愛と同時に、フェアネスな批評精神も感じられ好感が持てた。番組の編成も、第1~3回は『こころ』を賛美する内容であったが、第4回目のゲストに島田雅彦を呼んで『こころ』批判をさせているのも面白い。予想はしていたが、やはり最後で『こころ』=BL小説論が出てきた。至るところで言っているが、僕は『こころ』を何度読んでもそのように感じないし、断固否定したい。
2013/04/24
ophiuchi
夏目漱石の小説が時代を超えて読み継がれてきた訳が少しわかったので、未読の作品も読んでみようと思う。
2014/07/20
M・U
先生は友人Kを欺き、それがK を自殺に追いやる一因となる。先生は時間がたつにつれ自分の罪の深さを感じる。「こんな自分が人並みの生活をして幸せになる権利はない」。でも死ぬ勇気もないので生きる屍となる。そんな中で自分に出来ることはK の墓に毎月通うこと、妻の母を看護する事、妻に優しくする事。先生なりの罪滅ぼしを必死にしてきた。それが先生が発揮できたギリギリの誠意。悲しい話ですけど、何か嬉しくもあります。他にも、個人主義、師弟関係など面白い話満載でした。漱石は男気があって人に優しく、自分に厳しい。尊敬します。
2015/03/26
えみさん13
姜尚中さんの文章がとてもいい。番組自体もとても良かったので、復習のために。高校の教科書で読んだときより、こころ、深く。「私の鼓動が停つた時、あなたの胸に新らしい命が宿ることが出来るなら満足です」死の傍らでグラグラ燃えて輝く生。
2013/05/04
ぺんちゃん
私はこの小説に中学のころに惹かれた。吾輩は猫であるでもなく坊ちゃんでもなくこころに惹かれた。その時の私は自分は何のために生きているのか分からなくて淋しい気持ちになることが多かった。おそらく、その時の私の心情にこの小説がマッチしていたのであろう。また、同時期に人生の師だと今でも尊敬している「先生」に出会った。中学の時の国語の先生である。ほんの少し顔を合わせただけでこの人だと確かに思ったのである。まるで「私」が「先生」に惹かれたときのようだ。この小説を読むとそのときのみずみずしい感情が蘇る。
2013/04/08
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