NHK100分de名著 金子みすゞ詩集 2022年1月
NHK100分de名著 金子みすゞ詩集 2022年1月 / 感想・レビュー
アキ
昭和5年26歳で自死するまで7年間で512作の詩を書き、生前に一冊の詩集も出すことが叶わなかった。死後50年経ち、時代が求める詩になった。2011年東日本大震災の後TVCMで「こだまでしょうか」という詩が流れた。「私と小鳥と鈴と」と「不思議」は、国語の教科書に載った。でも、デビュー作の「お魚」が一番印象的。「海の魚はかわいそう。お米は人につくられる、牛は牧場で飼われてる、鯉もお池で麩を貰う。けれども海のお魚はなんにも世話にならないしいたずら一つしないのにこうして私に食べられる。ほんとに魚はかわいそう。」
2022/01/31
れみ
NHK-Eテレ「100分de名著」テキスト。放送が始まる前に全部読んだ。普段あまり詩は読まないけど、金子みすゞさんの詩は柔らかな言葉を使いながらもハッと胸を突かれるような視点を持っているところに心惹かれてきた。パンデミック、震災、戦争による社会不安、満たされない寂しさや孤独のなかにある開放感…、今の時代にも通じるものを感じざるを得なくて、名著のテキストを読んで泣きそうになったのは初めてかもしれない。みすゞさんはあのタイミングでの自死がなくても、その後の時代を生きるのは辛かっただろうなあ…。
2022/01/05
ころこ
金子みすゞの詩が発見されたのは、死後50年以上経ってからです。忘れられていたみすゞの詩が残っていたのは、戦前に出版された投稿雑誌にしきりに投稿していたためでした。著者はインタラクティブなメディアとしての投稿雑誌の文化的背景から文脈をつくっています。書店という当時の最新の情報が流通する家業、生家から比べれば都会の下関、そのまた都会の東京と、思いのほか現在とそこまで変わらない大正期の情報環境を描きます。同人誌によって投稿者仲間とのつながりがあったことも指摘しています。投稿雑誌のメディア論は柳田国男を論じた大塚
2022/01/10
東谷くまみ
柔らかな言葉と親しみやすい七五調のリズム。まるで小さな子供が呟くような口調で小さな命の愛しさや豊かで美しい自然の情景を謳い上げるみすゞの詩の中にふと感じる悲しみや寂しさ。その根底には多くの別れがあった。「お乳の川」「鯨法会」みすゞの背景を知った上で読めばその孤独の深さに涙を誘われる。詩歌を作り発表することは、みすゞにとって孤独を癒やす一つの方法であり自分の居場所を作るためのものだったのだろう。女流詩人というだけで軽んじられ詩集を出せない苦悩、肌で感じる自由な表現への抑圧と右へ倣えの同調圧力、→
2023/01/15
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
【1回目】「100分de名著」を見るようになってしばらくになるが、年明けの第一作としてふさわしいのかと訝しく思っていたが、読み進めたり、録画を見ているうちに、それはただの懸念でさえもなかったことがわかってきた。松本さんの筆致や、番組でのコメントがすばらしい。人ひとりが生きているということが、かくもすばらしいものであるのかということを、思い知らされたようであった。
2022/01/27
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