エドガー・アラン・ポー スペシャル 2022年3月 (NHK100分de名著)
エドガー・アラン・ポー スペシャル 2022年3月 (NHK100分de名著) / 感想・レビュー
アキ
江戸川乱歩の元とは知っていたが、世界初の推理小説を書いただけでなく、ドストエフスキーにまで影響を及ぼした作家とまでは知りませんでした。慶応大学名誉教授巽孝之氏の解説で「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」「アッシャー家の崩壊」「黒猫」「モルグ街の殺人」が背景まで理解できた。1840年代アメリカの東側だけの領土や、ピューリタン信仰が篤く異端者扱いから魔女狩りもあったとは。番組では、俳優の北村一輝の朗読が唸る位うまかった。ポーは「読むこと」そのものを商品として売るという文学産業の走りだったという見方も面白かった。
2022/04/10
れみ
NHK-Eテレ「100分de名著」のテキスト。「推理小説の父」と呼ばれるエドガー・アラン・ポーの4作品「アーサー・ゴードン・ピムの冒険」「アッシャー家の崩壊」「黒猫」「モルグ街の殺人」と、その生涯について解説。今回は取り上げられている作品を読んでから解説を読んだので、お話を楽しみつつ、ポーの人生と作品との関係や「そういう読み方もあるんだ」と感じる部分もあった。ポーという作家の名前は知っていたけど、自分が長く触れてきた文学の世界の根っこの部分にあらためて触れる機会になって良かった。
2022/04/30
ころこ
『盗まれた手紙』が精神分析で引用されるように、雑多に書かれたようでいて後世の作家やジャンルの成立に影響を与えたことに着目しています。『黒猫』の章では、天邪鬼的な人間の変わらぬ精神構造とピューリタニズムから来る抑圧的な当時の社会を反映した読みをしており、(盗まれた手紙の様に)この作品の意味をあまり考えて来なかったことに気付かされます。ポーが雑誌編集に拘りがあったのは、職業作家として「読む」という行為をも仕事にしてしまうという意識によっていたのだといいます。その「読む」から、探偵小説は成立しています。
2022/03/06
コニコ@共楽
「アラン・ポーがいなかったら、もしかしたらシャーロックホームズにもポアロにも会えなかったかもしれない!」という気持ちにさせられる本です。多くのジャンルの祖であり、またジャンルを超えた名作を残しているのも彼だったんですね。また、酒と麻薬の常習者だったというアラン・ポー自身のイメージも、ポーのライバルであったルーファス・グリズウォルドがポーを貶めるために誇張して作り上げたイメージだということも知りました。ポーが生きたアメリカの時代背景もわかって面白かったです。
2022/07/24
アーサー
初読、通読◆エドガー アラン ポーの解説本。著者はアメリカ文学者の巽孝之さん。『アーサー ゴードン ピムの冒険』『アッシャー家の崩壊』『黒猫』『モルグ街の殺人』の4作を取り上げる◆ポーはジャンルの創造者であるという。海洋冒険ものの皮をかぶり、あらゆるジャンルを横断、結末には余白を残す『ピム』。ラストに伏線が収斂する技法が見事なゴシックロマンス『アッシャー家の崩壊』。背景には魔女狩り、禁酒運動の余韻が感じられるホラー小説の起源『黒猫』。ミステリのあらゆるお約束を生んだ世界初の推理小説『モルグ街の殺人』
2022/05/21
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