NHK出版 学びのきほん 「読む」って、どんなこと? (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん)
NHK出版 学びのきほん 「読む」って、どんなこと? (教養・文化シリーズ NHK出版学びのきほん) / 感想・レビュー
とよぽん
高橋源一郎さんの「飛ぶ教室」を毎週楽しみに聞いている。そんな私にとって、この薄い本は自分の足下を見直す貴重な1冊となった。小学校の国語の教科書を引用して、「読み方」を掲げる意図が、最初はよく分からなかった。しかし、高橋さんが次々と読ませる例文から、次第に「読む」ことの深いところに誘導されて行った。学校教育で社会(現体制)への刷り込みをするための教科書! ページ数の割に恐るべきことが詰まっており、「読む」ことの原点を示されたようで目の覚める思いがした。
2021/01/29
アキ
たくさん文章を読むとよくわからない文章に出会う。意味がわからないまま先に進む。でも何か引っかかる文章がある。著者には誰もがいいと言う文章ではなく、読んで不安になったりできたら近づきたくないような問題山積みの文章こそが「いい文章」であるという原則がある。オノ・ヨーコ「グレープフルーツ・ジュース」坂口安吾「天皇陛下にささげる言葉」武田泰淳「審判」など教科書には決して載らない文章を提示し、学校とは国家を背景とした社会が最も力を発揮する場所、社会のことばを植えつけている場所と指摘する。著者ならではの視点の読書論。
2020/06/27
モリー
衝撃的な内容でした。映画マトリックスの主人公が自分の置かれている状況に気付いて目が覚めるのと同じ感覚が生じました。私たちは学校で本の読み方を習います。国語の教科書には本の読み方が丁寧に説明されています。しかし、その方法は教科書に掲載される文章の読解には有効でも、教科書には決して掲載されない文章の読解にも有効とは限りません。私たちは、学校で知らずしらずのうちに「社会」のことばを「植え付け」られている…。〈社会のことば〉を疑え!自分の中にもう一人の自分を飼い、言葉を交わせ!そんなメッセージを受け取りました。
2022/02/06
k sato
様々なテーマの文章を「読む」ことを体感できる一冊。小学1年生から6年生の国語の教科書に書かれた本の読み方を引用し、そのおさらいから始まる。この本で紹介されている作品は、決して教科書には登場しないテーマばかりである。例えば、AV女優のインタビューや天皇制に対する考察は、大学の講義や新聞、雑誌などでみるものだ。教科書は、生涯で読む文章のごく僅か。読むという行為には、文字を識別する見読だけでなく、文脈や行間を汲みとる判読も含む点がポイントだ。それに判読は、会話や行動観察にも使われる。「読む」って生きる術だな。
2023/03/06
ジョゼ★絵を描くことにハマったプ女子
学校では習わないような文章の引用がたくさんあって、深い内容のものばかりです。 思い出してみると、小学生の頃から読書は好きでしたが授業で使われる教科書の文章は〈読んでいる〉という感じがしなかったように思います。 自発的に読むのと、読まされるのでは大きく違うのかもしれません。 この本の中で度々引用される〈こくごの読み方〉も改めて勉強になりました。 読むことは、〈自分〉と〈もう一人の自分〉との対話なのだなと気付かされました。 〈心のキャッチボール〉をして自分を育てる為に、〈読むこと〉はとても大切だと思いました。
2022/08/31
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