緋文字 (Hayakawa pocket mystery books)
緋文字 (Hayakawa pocket mystery books) / 感想・レビュー
やいとや
物語の九割が痴情のもつれ、でありエラリイは市井の探偵よろしく尾行ばかり、ニッキーにはイライラするしと我慢の読書であったが、ラストのミステリパートでガツンと目を覚まさせられる。この衝撃の為に九割が存在しているんだ、と。「もっと短くてええやん」と当初は思ったがこれくらいの紙幅を費やさなけば、この効果は生まれないのだ。そもそもタイトルがレッドヘリングとして機能している、なんて誰が思う?という狡知が堪らなく素晴らしい。クイーン作品で上位に上がる事はないだろうが、クイーンが挑戦し続けた証のような作品。
2023/05/15
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