多元宇宙SOS (ハヤカワ文庫 SF 33)
多元宇宙SOS (ハヤカワ文庫 SF 33) / 感想・レビュー
白義
デビュー作である多元宇宙の帝国の続編だが邦訳はこちらが先。事実、元はこちらの世界にいた主人公が今は平行世界に住んでるらしいということさえ素早く把握できたら何の違和感もなく読める。展開が次々激変するストーリー展開は変わらずエンタメ小説の教科書に使えそうな痛快娯楽の模範。今回は平行世界のスケールを拡大し猿人が支配する世界を絡め、自らの宇宙まるごとの危機を救うための大冒険が展開される。緊密なプロットは前作より更に上で、後半にパズルのピースが次々噛み合っていく。なお、似たようなタイトルの多元宇宙の王子は別シリーズ
2017/12/13
鐵太郎
主人公の絶対にあきらめず粘り強い挑戦が、ローマー世界の魅力なんですよね。時間をかけて一歩一歩、屈することなく不可能に立ち向かうと言う点で、ベイヤードもそのヒーローの一人。マザー・グッドウィルという占い師の老婆がだんだん献身的な若い娘に変身していくところは、ヒーロー&ヒロインものらしいなにかを期待させましたが、途中で縁が切れます。残念。ここのところを今読み返すと、途中まで作家はもう故郷には帰れないと思っていたんじゃないだろうか? うん、ローマー節はやっぱりすごい。楽しませてもらいました。
2010/07/01
ニミッツクラス
71年の300円の初版を読んだ。カバーは同じ著者の「前世再生機」を描いた真鍋氏の作。設定が当時としては新機軸だと思う。同じ時空間の惑星系や恒星系でもなく他の銀河でもなく、過去でも未来でもない・・異相の位相間の話だ。人々は何かの介入によって現在が成り立つ(または滅ぶ)とは普通考えないから、多元宇宙の脅威の話など馴染みにくい面もあるが、本書は飽きがこないように活劇を繋いで緊張を保っている。最後のオチは、63年にピエール・ブールの「猿の惑星」が出ているからアイデアの元にはなっているのかもしれない。★★★★☆☆
2013/10/06
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