渇きの海 (ハヤカワ文庫 SF 235)
渇きの海 (ハヤカワ文庫 SF 235) / 感想・レビュー
山川欣伸(やまかわよしのぶ)
1963年度ヒューゴー賞にノミネートされたハードSF。21世紀の月面での観光事業を背景に、地殻変動により砂に沈んだ観光船「セレーネ号」の乗客、そして救助隊の奮闘を描きます。本書の主要なテーマは、人間の知恵と勇気、協力の精神です。作者は、月面という極限状況だけでなく、船内外の人間関係や心理描写も繊細に描いています。船内の人々が互いに励まし合う場面や、救助作業での科学的な知識の活用シーンも見どころ。ハードSFとヒューマンドラマを見事に融合させた本作は、SFファンだけでなく、幅広い読者におすすめの作品です。
2021/05/01
AR読書記録
裏表紙であらすじ読んで怖れていたようには,全然こわくない.パニックが起こる前起こる前にちゃんと手が打たれているし,危機的状況を引き延ばすこともない.シチュエーション的にはいくらでもこわくできる状態だし,種もぽろぽろ播かれているようでいて,でもそこに手をかけようとしている様子はあまり感じられませんね.使命にまっすぐに立ち向かう人間を描いたものなんだろうなぁ.とりあえずチリの鉱山およびイタリア豪華客船を思い出しました.しかし,まだ月に人が降り立つまえにここまで描き切っていたとは! クラークこそ宇宙人なのでは。
2012/03/25
aki
原題『月の塵への落下』を『渇きの海』と訳したセンスがいいね。クラーク近未来SFの中でも上位に入る傑作。月の遊覧船が100万年に一度のアクシデントで渇きの海に「沈没」してしまう。どのように見つけ、どのように救助するか。「救助される側」「救助する側」「救出劇を、ちょっと離れたところで中継するテレビクルー」の3者の視点で描かれる迫真のドキュメント。次から次へとアクシデントが発生する中、3者3様に「ベスト」を尽くす「さま」に感動しちゃったよ。危機を楽しむ、提督のリーダーシップがカッコいいです。オレもかくありたい。
2023/08/02
権三郎
本棚から発掘。乾ききりあまりに細かく風化したためまるで液体のような挙動をする岩石の塵が厚く堆積した「渇きの海」。月面観光ボートが乗員乗客22名を乗せたまま「渇きの海」に沈没してしまいます。生き延びるため、救出するためどうするのか。そもそも沈没地点を発見できるのでしょうか。 作者は「渇きの海」という設定を作り、月着陸前に書かれたにもかかわらず現代でも古びない物語を書き上げました。 解説は堀晃。
2022/08/19
なー
何度も読んでいるが面白い。クラークの作品にしては珍しく映画向きだと思う。
2010/04/05
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