動乱2100 (ハヤカワ文庫SF―未来史3)
動乱2100 (ハヤカワ文庫SF―未来史3) / 感想・レビュー
亮人
《未来史》第三巻。250頁の中篇「もしこのまま続けば」と短篇「疎外地」「不適格」収録。中篇は、宗教専制政治下の21世紀後半アメリカで、新米近衛兵ジョンが現人神に捧げられる処女に恋したことから、イッキに革命へ身を投じる!結構燃える展開の連続!単純で純朴なジョンの恋の行方も面白かったw「疎外地」は、中篇のアフターストーリー。「不適格」は一転して宇宙SF。小惑星を移動させて地球火星間のステーションにするミッション。数学が得意という隠れた天才リビイが危機を救う姿は胸がすく!どの話も成長物語でキャラクタが活きいき!
2015/01/20
kochi
現人神予言者による宗教的独裁体制に支配された未来のアメリカ。親衛隊「主の天使隊」に配属されたジョン・ライルは、偶然のきっかけから、予言者に仕えるシスターの一人と会話を交わしたことから、革命の激流の中に身を投じることに・・・ ハイラインの「未来史シリーズ」をまとめた三冊シリーズの最終巻は、長編ともいえる「もしこのまま続けば・・・」を含めた三篇に、おまけの未来史年表付き。未来の全体主義体制を作家に書かせた時代背景は深追いせずに、年表を見て思い出した、ラザルスじいさんのほら話をまた、読んでみよう。
2019/12/14
roughfractus02
社会と自由の関わりを描いた3編を収録する本書は、宗教的専制政治下で反抗する自由、未来都市の不適格者が野生に生きる自由、そして地球を離れた宇宙空間からさらなる外宇宙を目指す自由がテーマとなり、宇宙から地球に帰還しようとする長寿族が主人公の『メトセラの子ら』につながっていく未来史を形成する。3編共に第二次大戦勃発時の1939,40年に描かれており、2100年を舞台に自由を軸にしながら、それを疎外する「動乱」の戦時社会システムへの批判も透けて見える。興味深いのは、疎外する側のシステムを選ぶのも自由という点だ。
2023/12/13
白義
ハインラインの未来史短編シリーズの、時系列的な最終作を収めた三巻目……なのだが、言われないと未来史シリーズとわからないくらい今までと毛色が違う。前二巻が人類の上り調子、宇宙開拓時代の輝かしい光景を描いたものなのに比べて本作ではその後の衰退をすっ飛ばして独裁主義が台頭した時代以降が舞台となる。そのため、中間が抜けた感じになっていて、ガジェットも工学的なものから政治学や心理学、言語学といったものを駆使している。長い独裁主義との戦いから最終短編では新人類の輝かしい未来を予感させて終わるところはそれだけに晴れやか
2019/01/27
あかつや
3編収録。シリーズの前の2冊とはちょっと毛色が変わって、未来が変な方向に進んじゃったなって感じ。メインは長編の「もしこのまま続けば」。宗教独裁国家と化したアメリカ合衆国。予言者と呼ばれる現人神を頂点に厳しい専制政治が行われていた。主人公のジョンは予言者の親衛隊の兵士で、立哨の最中に出会った清らかなる修道女・ジュディスに恋をするが、彼女が予言者の夜伽をさせられると知り、二人での逃亡を決意する。話は独裁政権打倒の方向に進んでいくんだけど、この恋の結末が悲しいなあ。自由を得ると恋愛方面も自由になっちゃうよね。
2022/12/29
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