鉄の夢 (ハヤカワ文庫 SF 698)
鉄の夢 (ハヤカワ文庫 SF 698) / 感想・レビュー
アルビレオ@海峡の街
何この劇画タッチな文章は!序盤から脳内は「北斗の拳」や「魁 男塾」の様な暑苦しいイメージで満たされてしまった。フィクションのフィクションという設定は面白いと思ったが、あまりにもヒャッホー的な内容に、逆に爽快感すらおぼえる。巻末の解説で全てが納得できるかどうかはキミ次第!
2010/11/17
unknown
SF作家アドルフ・ヒトラーが1953年に発表し、翌年のヒューゴー賞を受賞した作品の「第二版」。独裁者やらずにSF作家やってたらきっと創作の中で独裁国家を築いていたであろうというパラレル。歴史改変&メタフィクションなコンセプト、入れ子仕立ての作品構造にシビれる。本編は核の炎に包まれた後の汚染された世界で、ミュータントを相手取って展開される史実のヒトラーのシミュレートなんだけれども、内容的にはくどい上に超凡庸というB級感溢れるシロモノ。例えるなら、『意図的に作られた「皮だけ美味しい鯛焼き」』。
2011/07/23
辺野錠
『鉄の夢』を読もうとしたらアドルフ・ヒトラーと言うアメリカのSF作家の小説『鉤十字の帝王』が始まって仕方なく読んだんですがこれって乱丁でしょうか? それはさておき政治家にならずにアメリカに渡ってSF界に関わるようになったアドルフ・ヒトラーの書いたSF小説という嘘八百過ぎる設定が面白かった。ハチャメチャになっていくが主人公の言う事に誰も異を唱えない後半が印象的。こちらの世界から見ると皮肉過ぎる最後の解説も強烈。息が詰まるような独特な文章は『わが闘争』の文体模写なのかが気になったところ。
2016/06/28
臓物ちゃん
演説という最強スキルを武器に、スーパーアーリア人の俺がミュータント絶滅戦争で無双する!アメリカに移住しSF雑誌のイラストレーターとして活躍していた作家アドルフ・ヒトラーの絶対的代表作!…という設定の、俺TUEEEもの最大の異端作。つまり「チートに熱狂してる奴なんてナチと変わりねーんだよ」という強烈な嫌味の書なのだ。雑魚がバンバン死んだり禁酒してたはずの主人公が酒呑み対決したりと展開が全体的にバカなのも仕様。俺TUEEEものを考える上では絶対に避けて通れない存在を描いた、歴史改変SFの真髄を味わえる傑作。
2015/12/24
はばたくキツネ
ヒトラーがSF作家になっていたら書いていたであろう本を紹介した本、というメタフィクション。偏執的な選民思想に基づいたシナリオと支離滅裂なご都合主義的展開、矢鱈と礼賛・装飾華美かつ矛盾だらけの文章に、晩年のヒトラー"らしさ"がうまくパッケージングされている。その奇抜で斬新な構成と、メタフィクションとしての演出・シミュレーションの面白さは無二。
2011/04/20
感想・レビューをもっと見る