ガニメデの少年 (ハヤカワ文庫 SF 729)
ガニメデの少年 (ハヤカワ文庫 SF 729) / 感想・レビュー
七色一味
読破。【海外SFの三大巨匠を読む:R・A・ハインライン】イベントで。まぁ、再読です。原題は『Farmer in the Sky』。訳本だからか、主人公の年齢設定がよくわからん…。ハインライン作品共通の、主人公が何が何でも前進する、という姿勢はしっかり踏襲されている。想像で描くガニメデの様子は、開拓時代のアメリカの大地にオーバーラップさせたか。最後の最後、あの「遺跡」は必要ないような気もするけど…。
2014/07/05
ジンベエ親分
ハヤカワ文庫から出ていたハインラインはほぼ全て持っていたが、いつの間にか人に貸したりして散逸してしまった。残り少ないハインライン蔵書をどこからか妻が見つけてきて熱心に読んでいたので、釣られて再読してしまった(笑) まあほぼ話は忘れていたので初読と同じだけど(笑) 木星の衛星であるガニメデに開拓民として入植する少年の話。ジュブナイルではあるが、ページ数も多くSF設定にも手抜きはない。1950年(!)に書かれた本なので、宇宙から見た地球の景観や惑星の描写に一部齟齬はあるが、それでも面白く名作。
2018/01/22
roughfractus02
ボーイスカウト誌に連載したジュブナイルという本書前半は、宇宙空間の知識、宇宙船の搭乗手順や船内の状況、隕石衝突時の措置等、スカウトの訓練を重ねるように木星を目指す行程を詳細に描く。一方到着する衛星ガニメデのテラフォーミングの過程は先行の入植者が行った概略(人工的に居住可能な温度にする「ヒートトラップ」等)で終わり、後半はのどかな農村に住む主人公が巨大地震に見舞われ、再建して真の故郷にするまでの困難が中心となる。作者は1950年時点の太陽系イメージをもとに、若者のフロンティア精神を触発しようとしたのだろう。
2023/11/06
仲本テンカ
あまり歓迎されない移民として、ガニメデに渡って来た主人公。聞いた話とは違っていたり、環境(重力など)も地球とはだいぶ異なるなか、それでも地味に忍耐する姿に心打たれます。物語じたいは、大きな展開はあまり多くはありませんでした。ただとにかく、厳しい世界で真面目に地味に勇敢に。気がつけば、立派なガニメデ人になっていた主人公。真面目に地味に勇敢に。私も見習わなければ…。
2013/06/15
黒川
ハインラインのジュブナイル小説。食糧難の地球を離れ、メイフラワー号で新天地ガニメデへと向かうビリーと家族。そこに待ち受けるものとは。ハードSFではないので然程カタルシスは感じられず、また、これといった大きな事件は起きない。しかし、アメリカの歴史や彼らのルーツ、文化や信仰が多く盛り込んであり、そういった意味でなかなかに興味深い。入植とそれまでの道程、フロンティアの開拓(「怒りの葡萄」を彷彿した)、冒険、そして異星で見つけた生命の痕跡。ビリーはいつしかガニメデ人となる。地震の場面が黙示録やノアの方舟的。
2013/11/15
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