フライデイ 上 (ハヤカワ文庫 SF ハ 1-29)
フライデイ 上 (ハヤカワ文庫 SF ハ 1-29) / 感想・レビュー
roughfractus02
人間の自由を探究した作者の過去の作品は、徹底した自己維持(不死)か身体の共有(カニバリズムとフリーセックス)に帰結していた。本書では父母を持たず(人工授精)、子供を身籠らない(手術すれば可)「人工人間」女性の設定で、これまで帰結だった人間における個と共同性を問い直す側に回る。国家の枠組みが崩れ多国籍企業が支配する世界を飛び回る女主人公だが、家族からは人工人間として疎外され、多夫多妻の共同体からも離脱する。さらに通信が途絶えた中でエージェントとしてボスの命令を求める彼女に、読者は個であることの難しさを見る。
2023/12/04
東森久利斗
偉大なる米国のマンネリズム文化の大巨匠、ハイライン節が健在、いつでも、どこでも、やっぱりハインライン。
2017/03/06
Artyom2033
戦闘伝書使の主人公フライデイは遺伝子工学による人工的な人間というマーベルのような設定。軌道エレベーターやパブリックアイみたいなガジェットが出てくる世界観。★★☆☆☆
2兵
ヒロイン・フライデイは人工人間(アーティフィシャル・パースン)の戦闘伝書使。危険と戦いながら秘密文書を運ぶのが任務なのだが、夫には自身の秘密を明かせず…。この小説の前に書かれた長編作品『獣の数字』があまりにもぶっ飛んだ小説だったので、それに比べれば、かなり読み易かった様に思う。特に冒頭数ページに渡って描写される世界観は、かなり好き。政治、宗教、LGBTなどをごった煮にして取り扱っているのは、いかにもハインラインらしい。キャプテン・マーベルやアリータが人気の現在なら、映画化してもヒットするのでは。
2019/06/24
感想・レビューをもっと見る