フライデイ 下 (ハヤカワ文庫 SF ハ 1-30)
フライデイ 下 (ハヤカワ文庫 SF ハ 1-30) / 感想・レビュー
roughfractus02
自由と個の問題は孤独に帰着するようだ。それを分ける基準は「ある/ない」のバイナリーコードである。母がいない、子供が産めない、女性である「人工人間」に過去を学ばせるのは、リスク回避技術を彼女に学ばせるよりも、彼女の現在の孤独を未来に繋げようとする作者の配慮かもしれない。唯一自らの拠り所とするボスが死に組織が解体されると、真に孤独となって外宇宙に向かう主人公に、未知なる未来が開けてくる。新たな世界で子供を産むことが可能になると、「ある/ない」の区別も個の考えも崩れるが、未知なる未来に身を晒すことが自由となる。
2023/12/05
東森久利斗
偉大なる米国のマンネリズム文化の大巨匠、ハイライン節が健在、いつでも、どこでも、やっぱりハインライン。
2017/03/07
Artyom2033
後半はわりと真面目な話。少数派の問題にも触れているが古臭さはない。"あたしは人間であり、あたしは属しているのだ"。素敵なラストだなと思う。★★☆☆☆
2兵
下巻も読ませる。後期ハインライン作品に顕著な、性に奔放な主人公の図は今作でも描かれるが、ヒロインが懸命なおかげか、他作品に比べて(おい)それ程不快感は無かった。クレジットカード云々のところは今読んでもリアルだが、やや設定を語り過ぎな気も。それにしても生まれながらの"人工人間"であり、女性としても差別され、何人もの夫とも別れ、苦難の人生を送ってきたヒロイン・フライデイが、最後の最後に子どもを産む事ができただけでなく"人間として属する"という幸せな人生をも得る事ができて良かった。後期作品の中では良作だと思う。
2019/06/28
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