リメイク (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-3)
リメイク (ハヤカワ文庫 SF ウ 12-3) / 感想・レビュー
MICK KICHI
近未来、映画産業の技術的変革と共に人間が演じる映画は姿を消し、過去の肖像権を利用したリメイク作品だけが作られている。映像加工技師の主人公と過去のミュージカル作品に思いを馳せるダンサーの恋物語。電脳空間や画像技術は現在から考えてもあり得る未来像で、モーフィング映像と映画スターの競演を商売にする発想は面白いと思う。作品の本当の魅力は、アステア&ロジャースを筆頭に、綺羅星のような映画の題名や俳優、台詞の引用がそこら中に散りばめられている事。小説のストーリーと映画愛が上質にコラボしている。ヴェラ=エレン好きです!
2019/07/12
sin
サイエンスフィクション?いやサイエンスロマンスだわ:-)映画の世界の凋落を近未来に映し出した社会に芽生えたラヴストーリー、映画を愛しながらも改変を加える破壊者の僕と、とうの昔に滅び去ったミュージカルを夢見るアリス!文中に酩酊(ラ・ラ・ランド)のフレーズが出てくることが、皮肉に感じられるのはいまならではのご愛嬌:-)ただしこの物語での酩酊は想いを寄せる女性に酷い仕打ちをしてしまうのだが…。
2017/12/05
もち
「僕らにはいつだってパリがある」◆ハリウッドは、データで蘇った名優によるリメイク作品で溢れていた。本物の映画の中で踊りたい、と願う少女を諭したトム。ところが彼が眼にしたものは、正真正銘、銀幕でタップを踏む彼女の姿だった。一体どうやって――■本作の舞台設定だからこそ成り立つ真相。現実と映画、双方の素晴らしさが響き渡る結末。万感の思いでもう一度、舞い踊る彼女に見惚れてしまう。映画マニアからミステリ好き、SFファンまで広く勧めたくなる一本。
2019/03/30
hit4papa
新作映画をつくらなくなった21世紀のハリウッドが舞台です。映画ツウ度を試される「細かすぎて伝わらない」小ネタがてんこ盛りになっています。ロマンチックなボーイ・ミーツ・ガール風の近未来SFですね。
ふりや
21世紀の初めのハリウッド。デジタル技術の進歩と共に、映画の新作はすべてCGで作られた「リメイク」ばかり。実写映画は一本も作られなくなっています。主人公のアリスは今では制作されていないミュージカル映画に出演したいと願うが…ストーリーは単純明快でサクッと読めます。もう一人の主人公トムとのラブ・ストーリーを絡め、アリスは夢の実現へと邁進して行きます。ウィリスの映画愛が溢れた作品で、様々な映画のタイトルやセリフの引用が多数。元ネタを知っていれば、より一層楽しめると思いますが、巻末に詳細な解説があるので安心です。
2020/10/11
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