夢盗人の娘 (ハヤカワ文庫 SF ム 1-26 永遠の戦士エルリック 5)
夢盗人の娘 (ハヤカワ文庫 SF ム 1-26 永遠の戦士エルリック 5) / 感想・レビュー
スターライト
エルリック・シリーズは前巻で一応終了と書いたが、まあ嘘ともホントとも言えず…。本巻では時代は第二次世界大戦にとり、ドイツ人ウルリックを軸として物語は展開する。そのウルリックは、エルリックの数多い分身の一つでもある。そこへゲイナーがこの世界はもちろん、全ての多元宇宙の支配を目論んで、クロスターハイムなる謎の人物とともに戦いを繰り広げていく。それにしても、ストーリー長い…。ムーングラムがちょい役での登場だったのは、残念。
2012/06/26
しまっち。
少々頭がこんがらがってしまった。前作「ストームブリンガー」での劇的な「完」から抜け出せないまま読んでしまったが、もう少し間をあけた方がよかったか。いやでも気になって仕方なかったし。エルリックの続きとしては違和感が多いのだが、あくまでもウルリック目線が主であるし、多次元宇宙の存在が当然として在り、時系列なんてあってなきもの、いろいろとよくわからないままに、ひっぱりまわされます。なんとかついていく感じだけど、やめられない。
2017/11/22
isfahan
バトル・オブ・ブリテンに英国が勝利したのはエルリックがドラゴンで力を貸したんだよ!という展開に衝撃。面白すぎです。米国のコニー・ウィリスはロンドン大空襲で一大ヒューマンドラマを演じたのに本国英国のムアコックは同じW.W.Ⅱが舞台でもナチスを敵にオカルト合戦。荒唐無稽ですが本当面白かった。解説の小谷真理氏が指摘されてるようにここでも「祖国を裏切る戦士」というモチーフが繰り返されていることも大いなる神話の一端という雰囲気。ウルリック目線のエルリックがとにかくかっこよかった。
2013/08/11
saladin
本著は一応の完結を見た『ストームブリンガー』から24年後に刊行されているらしい。当然文体も変化しており、ナチス政権下のドイツに生きる、エルリックの分身たるフォン・ベック伯ウルリックの目線で書かれている。が、あくまでもエルリックが主でウルリックが従の関係で、主役はやはりエルリック。現実世界と地続きにする手段として、並行世界とナチスドイツのオカルティズム、そして”黒の剣”(と聖杯)を結びつける剛腕に驚く。にしても、自分の分身と”合体”したりできるんだ…。
2020/07/17
とし
ムアコックの多元宇宙の世界観には僕らの現実世界も含まれる。本作はその意味で画期的な作品なんだと思う。第二次世界大戦、ナチスが台頭するドイツで、エルリックの魂の分身たるウルリックが<黒い剣>に関わる数奇な冒険に巻き込まれてゆく。夢の世界で宇宙は多元的につながり、ウルリックは異界においてエルリックの復活に役割を果たす。エルリックによってこの世界に召還されたドラゴンがドイツ空軍を壊滅させ、ナチスの凋落を決定付ける。いや~、なんだろうこの世界観。面白いわ~。
2016/06/19
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