黒曜石のなかの不死鳥 (ハヤカワ文庫 SF ム 1-29 永遠の戦士エレコーゼ 1)
黒曜石のなかの不死鳥 (ハヤカワ文庫 SF ム 1-29 永遠の戦士エレコーゼ 1) / 感想・レビュー
拓也 ◆mOrYeBoQbw
ファンタジー長篇。エレコーゼサーガ第一作。この作品と『公子コルム』によって”エターナル・チャンピオン・シリーズ”(ムアコック作品の主人公達が全て転生の1サイクルである)の設定が確立します。今作の特徴としては徹底した”ダーク・ファンタジー”と”人間嫌い”。これは同時期に描かれた『公子コルム』にも見られる特徴ですね。ある種、半未来SFに近く、人間や地球の終末における英雄劇を描いた、ムアコック版の『イリアス』とも言えるかもしれません(・ω・)ノシ
2016/05/30
スターライト
〈エターナル・チャンピオン〉の一つ、エレコーゼの物語。善と思ったのが悪、悪と思っていたのが実は善。主人公ははたして平和をもたらすのか、それとも荒廃をもたらすのか。書かれた時代状況も反映してか、作者の心境もうかがい知れる気もする。混沌の時代を抜けたあとに残るのは、東洋的な無常感だけなのかも知れない。ともあれ、エレコーゼことジョン・テイカーは、運命に導かれて悩みながらもその時々の自分の感覚を信じて進むべき道を切り開こうと苦闘する。それは、まさに現代を生きる我々の姿といえるだろう。
2014/06/11
風竜胆
まさにヒロイック・ファンタジーの王道を行くような作品と言っても良いだろう。
2013/09/08
円盤人
エターナル・チャンピオンの中でも、エレコーゼは特殊な存在だ。英雄としてひたすら転生を繰り返す彼は、かつてエルリックやコルムだったことすらある、というのだ。その意味では他のシリーズと併読した方が確実に理解が進むだろう。収録された2編とも、彼が英雄として異世界に転生するものの、運命への抵抗も虚しく手を血に染めてしまう、という話で、筋立てはシンプルだが、ムアコックの丹念な筆致によって読ませる。訳者の井辻朱美氏による解説――状況によって作り出される、悩める個人としての英雄エレコーゼについての文章――もおもしろい。
2018/11/13
総代
ムアコックで昔読んだことのなかったエレコーゼ。エターナルチャンピオンの集大成というべき本作。読んでると鬱々としてくるような…文学指向みたいなものが随所にみえる気がするが、きっちりファンタジーしている。こういう重いファンタジーが本当面白い。
2011/05/09
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