銀色の愛ふたたび (ハヤカワ文庫 SF リ 1-3)
銀色の愛ふたたび (ハヤカワ文庫 SF リ 1-3) / 感想・レビュー
みつき
タニス・リーが銀色の恋人を発表してから24年後の時を経て生まれた続編。前作の、少女が一度は夢見る恋愛の理想というものを見事なまでにぶっ壊し、盲目的で世間知らずだったジェーンとは違った、自分の中に渦巻く嫉妬や羨望と向き合う冷静な主人公ローレンの生々しく激しい恋愛。愛する男がかつて愛した女性の影に怯え、駆け引きを繰り返す。その様が上手く描かれていて、前作とはまた違った角度から恋愛の本質を見る事ができた事がこの作品の魅力かと。またラストが魂の在処をそこに認めさせてくれているようでふんわり素敵な余韻でした。
2013/06/20
作楽
ロボットの三原則を知らなかったのね、という世界。シルバーのが、素敵だったなぁ。 ローレンも可愛くない…(笑)でも、読んでて面白い箇所もあったな。
2017/11/30
ndj.
これを24年間待ち続けた人は辛いだろうな…作品において当然のことながら神の場所にいるのは作者であって、どのように「世界」を造ることも造り替える事もできる。タニス・リーは無慈悲な神だ。前作の感傷をすべて吹っ飛ばし、甘ったるいところを切り捨てて、ブレイク風の幻視的黙示録のようなものまで挟み込んでロボットを神の領域まで引き上げてしまう! 乙女チックなワタクシはジェーンは世界のどこかかたすみでいつまでも「シルヴァー」の夢を見ていると信じさせてもらうことにしますよ。
2015/08/01
ユキモリ
「銀色の恋人」から24年ぶりの続編。前作で解体され今作で再生されているシルヴァー=ヴァーリスの前作完全否定が凄い。ヒロインもジェーンと正反対の、スラム育ちで抜け目がなく欲望に忠実なローレン。主従の関係性(親子の関係も)とロボットに魂が宿るかどうかが主題のようだけれど、アニミズムとアトム以来のキャラクターに慣れている日本に住んでいると問題点が曖昧になってくる。前作が好きな人ほど今作に拒否感があると思うけれど、最後の数ページだけでも救いはあるしその後が激しく知りたくなるはず。
2014/05/11
ankowakoshian11
積み本消化。10代の頃に読んだ『銀色の恋人』に続編が出ていたことを知り驚き……続編としては24年振りだそう。ひかわ玲子さんの後書きにもあるように、自分も仏教徒で八百万の神やら付喪神がつく話を身近にしてきたのでロボットの魂の在処は、あってもおかしくないよなー派、寧ろ、好物なほう。今作は前作の『シルヴァー』の記憶を持つが故に『死(スイッチオフ)』を恐れたロボット達が自分たちを支配しているMETA社の軛から逃れる話と、ローレンという少女とロボット・ヴァーリスとの恋愛……というか、愛の所在を巡る話というか。
2021/09/09
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