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ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)

作家
パオロ・バチガルピ
鈴木康士
田中一江
金子浩
出版社
早川書房
発売日
2011-05-20
ISBN
9784150118099
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ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

幕開きは『ブレードランナー』のオープニングを思わせるような、ひたすらに混沌とした世界が拡がっている。選ばれた街はバンコック。近未来SFなのだが、世界はエネルギーを大幅に失っており、街を行くのは人力車である。また、チビスコシス病や瘤病など様々な病気も蔓延する。主人公はアンダースンとエミコ(ねじまき少女である)かと思われるのだが、他にもホク・センやジェイディーなど、怪しげな人物たちが跋扈し、これもまた混沌としている。この猥雑なアジア的混沌から、物語がいかに紡ぎ出されるのかが下巻の見どころかと思われる。

2021/12/04

藤月はな(灯れ松明の火)

アジアを舞台にしたスチーム・パンクSFで思い出すのは、ネオサイタマとかチバですが、こちらの舞台はタイ・バンコク。しかもこの作品は、電子技術が発達し、電脳的に拡張された未来世界を描く、従来のパンクSFとは真逆でエネルギー資源が枯渇し、疫病が流行る、現在の電力消費社会の危惧を描いているのです。ンガウという果実という自然(アナログ)から社会のシステム(デジタル)の破壊という飛躍が面白いです。そしてねじまき少女(新人類)のエミコの感情と理性が一致していないということに「自我の統合」への問いかけが為されていると思う

2014/10/12

とくけんちょ

人や食物に対する伝染病が蔓延して、人々の生活レベルは下がり、食糧危機に襲われている。そんな時代のアジアが舞台。とにかく、描かれる人や街の雰囲気は猥雑で、ゴミゴミしている。しかし、力強い。アジアって、生きる力にあふれている。話の主題は権力争い。ちょっと世界観を支える造語が読みにくい。訳もややこしい、一冊の中でも、読みにくいところと読みやすいとこがある。粗削りな印象だが、ストーリーはいい。

2022/04/08

Shun

近未来の石油が枯渇した世界が舞台のスチームパンクな世界観が魅力のSF作品。エネルギー問題に加えて疫病がこの世界の食糧事情を厳しくしており、オーガニックな食材は貴重でそれを生み出せる種子は金塊以上の価値を持つ世界のようだ。そんな中、東南アジアのタイで工場を経営するアンダースンは表の仕事の裏で種子の獲得に躍起になる外国人である。彼はある日、市場で見たことのない外見の芳醇な果物ヌガウと出会い、これに可能性を見出し調査を開始する。無味乾燥な世界で見つけた果物との出会いは世界を変える契機となり得るのか、下巻へ続く。

2021/10/10

キキハル

緻密に練り上げられた世界観に酩酊する。近未来のタイ王国。石油が枯渇し、海水面が上昇し、疫病が蔓延している。家畜や農作物が減少する中、海外から参入した遺伝子産業が社会や資源を牛耳るようになる。通産省の思惑、敵対する環境省の白シャツ隊。漢前な隊長ジェイディー。ゼンマイ工場オーナーのアンダースン。そして、日本製遺伝子改変ねじまき少女エミコ。バンコクの雑踏、人種差別、賄賂、スラム・・・。子供女王の国はどうなっていくのか? 若干の読みにくさは翻訳のせいかなとも思いつつ、気分はバンコクの熱帯夜へ。いざ混沌の下巻へ!

2011/07/04

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