黒いカーニバル (ハヤカワ文庫SF)
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黒いカーニバル (ハヤカワ文庫SF) / 感想・レビュー
かみぶくろ
ブラッドベリの初短編集。若かりし頃の巨匠の初々しい想像力を堪能できて素直に楽しい。なにより特徴的なのはその叙情性。どの作品にもじんわりと詩的な美しさが滲む。どこか懐かしさを感じるのもそのためか。ザ・翻訳SFとも呼べそうな独特な訳も慣れてくると好きです。
2019/03/11
かりさ
もう夢中で読みました。私の読書人生においてこんなにも心震わせてくれる作品に出逢えたことは大いなる財産であり、宝であり、つまりは読めてこれほどの幸せはないと打ち震えているところ。知らない世界があるというのは未知の希望と光とそして出会えてなかった不幸と…常々思うわけですが、ブラッドベリを読んでこなかったというのは間違いなく勿体ないことで、今こうして機会を得て読めたことに幸せに溢れています。幻想と奇想の世界の中に情味豊かな表現が紡がれ織り込まれいることもブラッドベリの魅力でしょうか。続く
2019/01/22
kinkin
ずいぶん昔に「火星年代記」をはじめて読んでとても気に入ってその後何度も読み返した。短編集だがカーニバルというだけあって様々な話に溢れ返っている。いきなり「黒い観覧車」で胸を掴まれた。またどの話も1940年台から50年台に書かれたものとは思えないくらい想像力ときらびやかさ、怪しさに満ちていると思う。スティーブン・キングのホラーと似たようなところがあるようでブラッドベリのほうがずっと詩的で叙情にあふれている。翻訳なので読みにくいと感じるところがあるがそこは読み手が自由に捉えたらいいと思う。図書館本
2016/10/06
mii22.
読み始めるとすぐどこか時空のねじれたような不思議な読み心地だったり、不穏で嫌な感じで死の匂いが漂ってきたりする。ブラッドベリだし、SFだし、黒いカーニバルなんだから当然なんだけど。結末がある程度予想できるものも、決してハッピーエンドは期待出来ないから心がざわつく。大好きな短篇「みずうみ」を見つけたときの嬉しさに、やはり私の好みが幻想的で美しく密やかで哀しみに心がしんとするようなお話なんだなと再確認した。
2020/10/30
藤月はな(灯れ松明の火)
ブラッドベリ作品は枯葉の甘やかな匂いと針が飛んで音が歪に聞こえるレコードのようにノスタルジックでありながらも不気味。世界創造を描いた「詩」と「微笑むひとびと」や「死の遊び」と「刺青の男」、「棺」のように邪気がなさそうだと思い込まれる存在からの剥き出しの悪意や狂気を急に思い知らされるような作品が好きです・・・・。
2014/06/20
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