逆行の夏 ジョン・ヴァーリイ傑作集 (ハヤカワ文庫 SF ウ 9-6)
逆行の夏 ジョン・ヴァーリイ傑作集 (ハヤカワ文庫 SF ウ 9-6) / 感想・レビュー
徒花
アメリカのSF作家、ジョン・ヴァーリイが1970~80に発表した中短編を集めた一冊。初読みだが、海外SF作品としてはまあまあ読みやすい部類に入るのではないかと思う。シリーズ作品があるようで、表題作は太陽系の各惑星に人類が居住して宇宙経済や格差などができている未来を描いた<八世界>シリーズとなっている。個人的には女警部補アンナ=ルイーズ・バッハの活躍するシリーズの一遍『バービーはなぜ殺される』がミステリーのようでエンタメ性が高く、おもしろく読めた。
2017/06/11
MICK KICHI
独創的なイメージを駆使して、しかも読み易い、バーリイのイメージ はそんな作品群。テクノロジーの発達予見と社会学的考察が興味深い。未来世界の太陽系を描いた<八世界>シリーズに含まれる「逆行の夏」は水星の驚異的な自然のイメージが圧倒的に描かれる。名作「残像」は唯一無二の社会学的見地から、現在の宗教的コミュニティを遥かに凌駕する存在を示唆してくれる。一度体験すると忘れられないインパクトで押し寄せてきます。オウム真理教の主犯がいなくなって、本当の精神的繋がりとは何かを考えざるを得ない。
2018/09/04
ゆかーん
全体的にアンハッピーな終わり方で、切ない気持ちになりました。一番印象に残ったのは、表題作の「逆行の夏」。水星に暮らすぼくに、クローンの姉が月から会いに来てくれたという話。しかしながら、姉が語る親の秘密に衝撃が走りました!性別を変えたいと願った、母の本心がとても近未来的です。もう一つの賞に輝いた「残像」も印象的でした!原子炉事故による放射線漏れで、多くの障碍児が生まれてしまう現実。身寄りのない彼らが生活する、ユートピアでの生き方がとても神秘的でした…。「絶望の中での幸福」を感じさせる世界に圧倒されました。
2016/07/05
藤月はな(灯れ松明の火)
この作者はお初にお目にかかりますが、全体的に近親相姦を匂わせている作品が多いですね。そして女の不意打ちと後出し感が満載σ^_^;特に自分の立っている所がひっくり返るような驚愕に見舞われる青年の少年期の終わりである表題作は遣る瀬無い。「バービーは何故、死ぬ」は「多数いる同一の個による殺人の場合、責任は誰に負わせられるのか?」という生贄の羊論への問いが重く、のし掛かります。PRESS ENTERの繋がっているからこその怖さや知ること、常に見られていることへの恐れはネットが発達した現在だからこそ、リアルで怖い
2015/11/18
Small World
学生時代から読んでみたいなーと思っていたヴァーリイ、絶版も多かったりするのですが、近年、短編集が相次いで出てたりするので、遅まきながら初読みです。読んでみると、性的な表現も多くて、大人のSFって感じでした。特によかったのが「残像」で、これってSFなのか?と思わせる雰囲気なんですが、タイトルの意味が深すぎて、、なかなか印象深かったです。
2016/11/13
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