世界の誕生日 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-11) (ハヤカワ文庫SF)
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世界の誕生日 (ハヤカワ文庫 SF ル 1-11) (ハヤカワ文庫SF) / 感想・レビュー
みっちゃん
ル・グィンの作品は遥か以前にゲド戦記の【影との戦い】を読んだのみ。でもこのタイトル、表紙、どうしても読みたい!と思った。全編に現れる異世界での様々な性・結婚の形に、まだ若かしり頃に萩尾望都の一連の作品群にショックを受けた事を思い出した。地球を飛び立った世代宇宙船で生まれ育った人々が、いざ、目的の星に到着する、という段に抱く畏れ、期待を重層的に描く最終話【失われた楽園】が圧巻だった。
2015/12/20
絹恵
例えばどこかの誰かの話のように歴史が語られたり、或いは神さまの話のように愛を語るそれは、永遠に醒めない恋を求めるようでした。でもそんなままならない心があるからこそ、歓びも感じられるのだと思いました。苦悩を伴って踊り果てたその先で世界はもう一度生まれ、暗闇を感じて星を探します。そして広げて環を描く両手は、失われた楽園を知るために旅をしたいと願うのではなく、きみを理解していくために終わらない旅をしたいと祈るように。
2016/02/06
まきこ.M
期限内に読み終わらず途中で図書館へ返却。SF作品は、私が今迄当たり前と考えてきた観念や価値観全てを一から覆されるようなガツンとした衝撃を味わえる。設定のパズルのピースがぴたりとはまり、独自の世界観を作品の中で完成させられ惹きつけられる強い引力を持っている。設定も気にならないくらいのこれでもか、と描くふつふつ燃える炎にも視える孤独や葛藤を、マーラーのような壮大なスケールでそれぞれの個性を持つ楽器の奏でるハーモニーが調和している世界という名の音楽を聴いているよう。集中力のある時に今度は精読したいと思える一冊。
2016/02/28
かわうそ
現代社会への問題意識を背景とした綿密な設定と登場人物の息づかいが感じられるような状況描写に圧倒される一方、読んでいて感じるストレスや重苦しさは著者の狙い通りなんだろうけどそれがわかってしまう分多少説教臭かったり。
2016/04/28
波璃子
フィクションでありながら世界や登場人物たちのことば一つひとつがすごくリアルに感じられる。性がテーマの短編が多かった印象。表題作「世界の誕生日」は神話的な雰囲気があり、「失われた楽園」も余韻の残る終わり方で心に残った。
2015/12/04
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