破壊された男 (ハヤカワ文庫SF)
破壊された男 (ハヤカワ文庫SF) / 感想・レビュー
harass
テレパシー能力が確立した24世紀、犯罪は未然に防がれるようになった。だがあの男を殺さなくてはいけないと財界の権力者が殺人を企て、入念な計画の末に殺人は実行された。そしてエスパーの捜査官が70年ぶりの殺人事件を追うのだが…… 「虎よ、虎よ!」の作家の長編デビュー作で第一回ヒューゴー賞受賞作。独特のスピーディーな展開と盛り溢れんばかりのSFアイデア。52年の作品でいろいろな部分で古さを感じた。それがでてくるのかと。当時だと画期的なのだろうが。「分解された男」と記憶していたがそれは創元推理版だと。すこし期待外れ
2017/02/06
森オサム
著者初読み。第1回ヒューゴー賞受賞作。1953年の作品。ざっくり言えばSFミステリですが、とにかく熱量が凄くて(特に主人公ライクの暴れっぷり)とっても読み疲れました(笑)。古典SFもちょいちょい読みますが、本作のインパクトは結構強烈、品が無くてえぐかった。とは言え、ミステリ的には最後のオチで途中に感じた違和感には結構説明が付き、割とスッキリ終わって良く出来てたと思います。しかし何と言っても装丁が素晴らしい。こんな格好良い表紙見た事無い!、ってくらい気に入った。巨匠寺田克也大先生恐るべし。ね、思いません?。
2024/10/21
geshi
作者の主眼はエスパーによる監視が当然となった社会の閉塞と一般人対エスパーの深い溝あって、犯罪はそれを明確に見せるための場なのだろう。過度にミステリを期待しすぎると力技や行き当たりばったりや後手後手が多く計画性が弱すぎるけど、追う者と追われる者が互いを認識しながら命を懸けた戦いには引き付けられる。エスパー同士の心を読みある会話を様々なビジュアルで読ませる手法はベスターらしく、翻訳するのが大変だったろうなと思わせる。ラストに明かされる〈顔のない男〉の真相は意外かつ手掛かりはしっかりしている。
2017/05/16
kinnov
SF、アメリカのSFを読んだなと満腹満足。スピードと奇想、内省と外連、いかにも6*年代SFだ。舞台設定を抜きにすれば、ミステリーとしても動機は一級品だ。探偵小説ではないのでルールは厳密には適用されていないけれど。ある種のモダンジャズを聴いている時に感じるグループと興奮に溢れた一冊。
2020/03/09
こら
超能力により犯罪が未然に防がれる未来ーエスパー捜査官と完全犯罪を目論む天才犯罪者の対決が始まる!この設定でもう掴みはOK!この様な『古畑任三郎』形式のミステリは、犯人のキャラがどれだけ魅力的か、で面白さも変わりますがこれも合格点。まず、如何に読心能力の裏をかくかに感心し、捜査官との駆け引きもスリリング、そして最後に明かされる意外な動機!倒叙物・コンゲーム・ホワイダニットが一気に楽しめる、なんて贅沢なミステリ♪
2017/01/21
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