円: 劉慈欣短篇集 (ハヤカワ文庫SF SFリ 6-1)
円: 劉慈欣短篇集 (ハヤカワ文庫SF SFリ 6-1) / 感想・レビュー
sin
※テクノロジーでは探知されない鯨を捕鯨が葬る※研究者の驕り、技術者の矜持、労働者の奉仕は何れも人間の弱点を内包す※教育と無理解の差に衰退を嘆く※なにげに平行世界※物理学者の憂慮※侵略戦争の不条理を描く筆に資本主義の腐敗を匂わせるが共産圏に於ても…※芸術はそれ自体では芸術足り得ず、それを芸術と認識することで芸術と成る※『サソリとカエルの寓話』※くだらないことが成果となる?否!テクノロジーは発想に依って用途が飛躍す※しかし二百年は永遠には程遠い※何れも長期的展望の欠如!※私達は人生に怯えているか?※迂遠な暗殺
2023/05/13
Sam
「三体」は未読。予備知識なしで何となく手にしたのだが、読み始めたら止まらない。何とも素晴らしい短編集だった。もちろんSFではあるんだけど家族の絆や環境問題、貧富の差といった極めて現代的なテーマが巧みに取り上げられているかと思えば「そうくるか!」という意外な着想に驚かされる。そしてなんといっても宇宙の大きさを感じさせてくれるようなスケールの大きさなストーリー展開は出色。すごい作家であることがよーくわかった。
2024/03/25
まちゃ
1999年から2014年に発表された13篇を収録。《三体》にとり入れられたモチーフの原型(SF要素、中国の文化的背景)を垣間見ることが出来る興味深い短編集でした。楽しめました。《三体》にも登場した「円」の人列計算機のスケールは圧倒的
2024/02/20
はるを
🌟🌟🌟🌟☆。『三体』でお馴染み天才作家劉慈欣、初の短編集。文庫化のタイミングで選書。短編とは言っても一本一本がとても丁寧な設定で1ページ辺りの情報量がずっしり重い。映画が作れそうな完成度。全体的にバッドエンドで終わる話が多く「悲壮感や絶望感が漂う暗さの中に垣間見えるひとすじの光明」という言葉が浮かび上がるような内容。『円』は以前にも読んだ事があったが再読してもやっぱり良い。全部読み応えがあって良かったが中でも『栄光と夢』は今年読んだ小説の中ではベスト3に入るほどの文句なしの傑作。
2023/07/14
塩崎ツトム
劉慈欣の文体について考える。彼もケン・リュウのように、自分の生まれ育った社会に深く根差した作品を書くタイプのようだ(まあ、テッド・チャンの無国籍性も同じ根源の作家性なのかもしれないが)。書かれた作品の多くは2000年代初頭。「三体」もそうだが、中国という国は今でも「大いなる物語」を求めているのか、それとも国家が個人に、大いなる物語を持つことを強いているのか。そして20年たった現在、巨大な神話はまだ生きているのか、それとも強いられたままなのか。ところで表題作「円」は何度読んでもあいかわらずスゴイ。
2023/10/12
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