ペガーナの神々 (ハヤカワ文庫FT)
ペガーナの神々 (ハヤカワ文庫FT) / 感想・レビュー
井月 奎(いづき けい)
存在や時間は大いなる神の夢なのか。かの神が目覚めるときに世界は静かに(神の)意識の奥底に隠れて、もしかしたら再び現れることはかなわないのか。世界の成り立ちや、そこに一定の秩序をもたらす神々もすら大いなる神の寝息の中での存在で、人々が神々との折衝、約束によってもたらされる世界は大太鼓の音(リズムは命と時間の現われである律動か?)が弱まり消えゆくときに夢とともにはるかに消えゆきます。大いなる神の眠りの終わりは夢の終わり。覚醒は世界から西も東も消し去り、時間もその流れを止めて神々は静かに流れゆくのみ。
2020/02/22
かりさ
世界を人間を手なぐさみに創る畏怖の存在である神々の物語は幻想的に神秘的に時に驚異的に…。ダンセイニのまるで宝石のように美しい永遠の幻想。夢見るように羽ばたくように何処までも世界の涯までもゆく美しい空想神話の旅。
2019/11/04
ゲオルギオ・ハーン
架空の神話『ペガーナの神々』。世界各地の神話を組み合わせてオリジナルの神話を作るのかなと思いきや独特の世界観が強くて、意外に面白かった。神々の気ままさ、プライドの高さが印象に残った。当世最大の王が神々の像の顔を王と瓜二つに作ってしまうと激怒して歴史上の記録ごと消し去る神罰を下す。平和な世界に飽きて疫病を蔓延させ、回復を祈る人々を嘲笑し、預言者に批判されると逆ギレして預言者を即死させ、預言者の遺した神々の時代の終焉に恐れを抱くなど幻想的なテーマながら人間くさいところもある変わった内容でした。
2021/05/30
ふみふみ
ダンセイニ卿の創作神話。小さな神々たちによって創造されたこの世界は、その神々を作った創造主マアナ=ユウド=スウシャイの目覚めとともに、ぜんぶこわされ、スウシャイたった一人が残るという幻想的な世界観です。小さな神々は、太鼓、命、死、時、進、夢その他いろんなモチーフのキャラがいて、詩的なスタイルと相まって醸し出される雰囲気は著者ならではの独創性を感じます。荒俣宏氏の訳はいいと思いますが、原葵氏が訳すともっと良くなるかも。
2023/09/04
あたびー
持ってる本は違う表紙。ちょっと読むのに苦労してしまった。まず神々の名前が憶えられず、途中から引き返してノートを作成。「時と神々」以降は少しストーリーらしきものもあり、若干読みやすかった。併行読書中の「ウイスキー&ジョーキンズ」あとがきで中野善夫氏はこの本をジョーキンズが語りそうな法螺話と捉えるのも悪くないと言っている。どうだろう?一点だけ、文中「予言者」原文'Prophet'は「預言者」である。神の言葉を預かり伝える者だ。予言する者は英語では'predictor'だと思う。
2019/03/05
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