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影のオンブリア (ハヤカワFT)

影のオンブリア (ハヤカワFT)

影のオンブリア (ハヤカワFT)

作家
パトリシア・A・マキリップ
井辻朱美
出版社
早川書房
発売日
2005-03-24
ISBN
9784150203825
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影のオンブリア (ハヤカワFT) / 感想・レビュー

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のっち♬

歴史ある都と地下に広がる影の都を往還するファンタジー。地底と古い時間の連関性は伝統的で、鏡像性や対称性を打ち出した造形、古い建物が陥落した地層や歴史コラージュが氾濫する寝室といった舞台、想像力の担い手たる絵描きが鍵を握る設定は人間の深層心理を揶揄するかのよう。話は密室静劇志向かつ時空移行が縦横無尽で、読者の想像力を試す寡黙な文章。登場人物が背負った"自分は一体何者なのか"という命題に断片的回答しか残らない余韻も娯楽というより内省的で象徴主義。表出する出自に捉われない親子関係の肯定はテーマを微積分した帰結。

2023/08/18

藤月はな(灯れ松明の火)

美しく、栄えある都、オンブリア。しかし、オンブリアを統治していた大公が急死し、「黒真珠」ことドミナ・パールが摂政となり、大公の遺児、カイエルを傀儡として独裁を敷こうと奸計を巡らしていた・・・。私のオンブリアの視覚的イメージはフィレンツェとギリシア、雰囲気はヴェネツィアでした。大公の妹が生んだ庶子で美貌の画家、ディコンが案外、ヘタレなのに対し、大公の愛妾だったリディアがソーン先生に化けてまでカイエルを助けようとする逞しさが印象的。そして女魔術師のフェイがマグ自身に「お前は蝋人形」と騙してまで護ろうとした姿も

2015/10/31

さつき

再読。舞台は古い都オンブリア。大公の突然の死から物語は始まります。権力を握った老女ドミナ・パールによって追放された大公の妾妃リディア。大公の甥のデュコン。地下の世界に生きる女魔法使いの『蝋人形』マグ。影が取り巻き、裏切りがはびこる世界で三人の主人公のぶれない思いが際立って美しく感じられました。あまりに長い歴史を持つために、使われない部分が増え迷宮と化した宮殿は、危険と秘密の匂いに満ちていて魅力的です。独特な世界に浸り楽しく読みました。

2016/11/11

miroku

現実の都と地下魔法空間の影の都。二つの世界が重複して、幻想世界を構築する。現実と虚構の境目のあやふやさが、読者を心もとなくさせる、実に不思議な作品。

2012/03/29

cecilia

幻想的でまた好き系統の話だった。お気に入り本。マキリップ大好き。 カイエルとリディアに和む。あとフェイのマグへの愛情もじーんとした。この後を妄想するのが楽しいです♪また読もう。お気に入り本。

2011/06/22

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