国境線は遠かった (ハヤカワ文庫 JA 61)
国境線は遠かった (ハヤカワ文庫 JA 61) / 感想・レビュー
誰も悪くないこれは悲劇や
人間文明に対する虫を眺めるような見下しまくった視線の苛烈さよ。精神病者も科学史も大阪万博も何かもが有象無象のちりあくた。天才の俺と比べて全人類は愚にもつかぬ馬鹿であり、せいぜい踊って騒いで死ねばよいという、傲慢極まる創作物「筒井康隆」の息吹が何よりの傑作と言えるでしょう。精神病院の患者と医者と外の人間の立場がくるくる入れ替わる「穴」、ドタバタを通じて国境線が揺さぶられる「国境線は遠かった」と何かしらのボーダーを消滅させ、全てを等号でくくる(そしてまとめて馬鹿にする)作品が多かった印象です。おもしろかった。
2017/06/05
Ayano
いただいた本。 著者についての本についても予備知識なく読み始めたので最初の2つのストーリーから精神科関係の本かと思って読み始めた。読後、著者のプロフィールをみると…時代の先を行く人で、時代が後からついてきたような意志が強い人なんだなと感じた。 タイトルとなっている「国境線は遠かった」の時空の歪みはまだまだ現実には起こらないと思うけれど、情報やネットには税関もないし国境線ってないよなーと思いながら読んだ。 印象としては星新一氏のもう少し現実世界寄りにリアリティもたせたような感じ。
2016/10/16
1977年から
1977年
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