司政官 (ハヤカワ文庫 JA 66)
司政官 (ハヤカワ文庫 JA 66) / 感想・レビュー
kokada_jnet
「ハヤカワ文庫JA1500番到達記念・復刊フェア」と題されて、昔のカバー絵のまま、自由が丘の新刊書店の平台に並んでいたので、つい、買ってしまった。JAの番号66。74年に早川からハードカバーで出たものを、翌75年に文庫化したもの。解説は福島正実。カバー絵は佐治嘉隆。SF小説の「無限の可能性」が、まだかろうじて信じられていた時代を、代表する短編集。「司政官」シリーズは、設定と作家としての志は、非常に素晴らしいのだが、作品の質がそれに追いついていない、残念なシリーズ。
2021/11/25
ヒデキ
人類が、宇宙に進出し、様々な生命との出会いと武力による侵略を繰り返していた時代 軍部が、手を引いた世界に多くのロボット官僚と一人の優秀な「司政官」が、派遣され、地元の生命体との調整をしている社会・・・ 日本でSFが、元気だった時代を感じてしまう作品でした
2024/09/29
亮人
眉村卓先生の《司政官》シリーズの短篇集。創元文庫からシリーズ二冊を合本した『全短編』が復刊しているが、旧版のハヤカワ文庫二冊で読んでみる。シリーズ長篇の『消滅の光輪』も大傑作だったが、短篇も傑作ばかり!人類が運営する連邦が、植民惑星を統治するために送り込むのが司政官。植民惑星は、先住種族宇宙人が住んでいたり、人類植民者が不満をつのらせたり、統治は困難を極めるが、司政官はロボット官僚を従えて奮闘する。組織の中の個人の苦闘を描いたインサイダーSFであり、政治・組織の軋轢など、綿密で濃密で読み応え充分!大傑作!
2016/05/01
ふりや
人類が宇宙へと進出した遠未来。数多ある植民惑星を統治するために高度な訓練によって生み出された司政官。彼ら司政官たちは高い知能を持つロボット次官を従え、異なる文化や原住者を持った様々な惑星での司政を行います。大きな権威を持つ司政官たちが社会と個人の間で苦悩し、時には挫折を味わいながらも奮闘する姿を描いた作品。4つの物語から構成され、順を追って徐々に組織が変容していく年代記的な歴史の流れを描いています。それぞれの惑星の文化や情景の描写も面白いのですが、何よりも心にじわりと沁みるストーリーが印象に残りました。
2021/11/06
本の蟲
小松左京、筒井康隆らと共に日本SF第一世代と呼ばれる作者の代表シリーズ。2008年に東京創元社から「司政官 全短編」が出版されているが、こちらは初期4作しか収録されていない。数多くの惑星を武力で征服・植民していき、ようやく拡張政策にも倦んできた人類。軍政を強いてきた連邦軍に代わり、無数のロボット官僚群を率い、たった一人で惑星統治のため赴任する行政専門家。それが司政官。「植民世界の発展と先住種族との融和」の理想から始まった制度初期から、綻びが生じてきた制度の終焉近くまで、複数の司政官視点からなる年代記(続
2020/11/21
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