七胴落とし (ハヤカワ文庫 JA 167)
七胴落とし (ハヤカワ文庫 JA 167) / 感想・レビュー
k5
これは面白かった。成人前はテレパス能力があるという世界での、ティーンエイジャーたちの物語。七瀬シリーズをポエジーで語るみたいなイメージでしたけど、タイトルの七胴落とし含めて爺さんのエピソードが全体をあまりポエミーにせずに支えている気がしました。
2022/01/24
GaGa
「言壷」を購入し、あまりにも久しぶりの神林作品なので、新しい作品を読む前に再読。神林氏の最高傑作は「あなたの魂に安らぎあれ」と言う人もいるかと思うが、あれはどうにもディックの模倣的要素が強すぎてあまり高い評価は出来ない。と、なると救いようのないこの作品こそ、神林氏の初期傑作のように思える。ただ、表紙絵も昔の方がいい感じだけどね(笑)
2012/09/18
そふぃあ
子供のうちだけ「感能力」というテレパシーが使える世界で、主人公三日月を中心に、大人になりたくない子供たちの不安や恐怖を生々しく描き出したSF小説。子供は大人を蔑み、大人は子供を疎ましく思う苦しい世界観。子供同士の危険な遊びも読んでてきつかった。初期作品としての粗さが残る作品。想像力と言葉の力の模索が垣間見えた。
2015/12/17
藤月はな(灯れ松明の火)
感応力を使えるもの同士での自殺を促すゲームや自分の安全で閉じた世界と社会や他人とのブレに苛立つ気持ちなど青春の暗澹とした仄暗さを如実に描いているように感じました。多分、中二病ピーク時の小学時代に読んでいたら共感したかもしれません。「大人は子供のことなんて分かってはくれない」と言えるのは子供でも大人とも言えない不安定さを抱えた人だけが使えます。このまま、閉じた世界と社会に苛立ちを募らせて自己完結していくか、大人になって周りに合わせ、鈍麻するかは個人によって定められる。最後のある死がやけに苦く、感じました。
2011/06/26
メイ&まー
桜庭一樹さんが読書日記の中で書かれていてずっと気になっていた一冊。なぜか図書館にもなくて、本屋さんで見かけたので運命と思って買いました。青春SF、ということらしいですが…18歳の予備校生の大人になりたくない!という足掻きと青臭さ、子供だけが持つ「感応力」でもって行う言葉要らずのやりとりと危険なゲーム。主人公の少年三日月の、大人を見下しながらも大いに迂闊なところや、女なんてと思いつつもうかうかと翻弄されちゃうところが大変みずみずしく描かれていたと思う。あんまり七胴落としの存在感が無かった気がするけど。
2015/11/09
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