我語りて世界あり (ハヤカワ文庫 JA カ 3-18)
我語りて世界あり (ハヤカワ文庫 JA カ 3-18) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
すべての人間がネットワーク化され、あらゆる感覚を共有する時、「個」は消滅する。しかし、その一方で感覚や意識が電子化された時に、それらは人間としての個体の消滅以降も残り続ける。共感覚の世界に反抗する3人と、ネットの中に潜む「わたし」の双方向から「個」とは何かを問いかけた試み。しかし、世界形成の方法が理屈っぽ過ぎるために、神林ワールドの震えるような感動からはやや遠いのは残念だ。
2012/06/07
よしみん
タイトルに惹かれ、「人間のことなら何でも知っている」の冒頭の1文で、この語り手は誰なのかと世界に引き込まれた。あらゆる感覚や経験を共感し、誰もが誰でもなく、個性を持たない世界で、機械知性体の「わたし」が存在を認められたいと切望する。人が個性を持たないこの世界に「ハーモニー」のその後を感じた。現在過去未来、現実と幻想が入り交じり難解だったが、最後まで読んでその訳が腑に落ちた。あとがきを読むとよりこの本の世界が分かってよかった。
2016/05/22
どんまいシリル
この本を最初に読んでいたら、私は、神林長平のファンにはならなかったと思う。言いたいことは感覚的にわかるが、何がどうなっているのかサッパリだ。現実、非現実、過去、現在、未来、あんまりぐるぐる回ると、ちょっとついて行けない。「言語」や「人間とは」の語りは好きだけど、これは、読まなくてもよかったかもしれないなぁ。
2014/11/20
橘
いかにも著者らしい世界観が、短篇集として積み重ねられる。刈り取られる命と乾いた流血に戦慄し、変容する時空と情報に心躍らせる。今、目の前にあるものは現実か?脳を熱く滾らせ、SFを存分に楽しめ!
2016/06/05
記憶喪失した男
いろいろと考えさせられるものがある。
2015/03/02
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