深夜の散歩: ミステリの愉しみ (ハヤカワ文庫 JA マ 6-2)
深夜の散歩: ミステリの愉しみ (ハヤカワ文庫 JA マ 6-2) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
純文学畑の三人の作家が、ミステリについて持論を開陳。ミステリ界の作家によるものではないだけに、切り口がなかなか新鮮。今さらではあるが、直接ではないものの、ミステリが文学かどうかについての論議の余波があちこちに感じられて、今の読者にはピンとこないかもしれない。福永氏による『深夜の散歩』というタイトルは、実にすばらしい。まさにミステリの楽しみを表現するような的確さを感じる。執筆後50年をへて、今では本の現物を探しづらいような作品への言及もあるが、それはそれで探求欲を適切に刺激するものだろうと評価したい。
2015/06/09
KAZOO
最近の若い方はあまりご存じない人ではないかと思われます。丸谷さんは最近までご存命でしたのでわかる方が多いとは思いますが。ミステリーの読み巧者の3人が、自分の好みのミステリーについて書きたいだけ書いて読んでいるほうも楽しくなります。ただ古いのでそれだけが残念ですが。昭和33年から38年までの「EQMM」(現在のミステリーマガジン)に連載されていた、ミステリー紹介ページです。ちなみにこの時の編集長は都筑道夫さんでした。
2014/08/25
紅はこべ
クリスティ、クイーン、カー、ルブラン、乱歩くらいしかミステリを知らなかった私に、ミステリ読みの指針を与えてくれた。この本と北村薫氏と鮎川哲也と13の謎が、私をミステリの道に踏み込ませた。何と罪深い。でもクレイグ・ライスを教えてくれたことには感謝。
海恵 ふきる
福永武彦・中村真一郎・丸谷才一、3人の読み巧者が縦横無尽にミステリを論じる。ミステリが軽んじられていた時代に、これほどまでに熱く語ることができた3者はやはり先見の明があったのかもしれない。言うまでもなく読みたい本が増えまくる。多少ペダンティックな語り口が鼻につくひともいるかもしれないが、ぼくはわりとこういうのが好みだ。詳し過ぎるが故に向こう側に行ってしまったひとたちの会話を聞いているのは楽しい。真にその意味を理解することが出来ていないとしても、その知識量に圧倒されているだけでいいのだ。
2022/11/28
アルクシ・ガイ
福永武彦がいちばん面白かった。あんな洒落た文章を書くひとなんですね。あとのふたりはお説教と愚痴が鼻につく。ミステリーは時間がたっても腐らないが、ミステリー評論は腐るのだ。小説と翻訳の関係に似ている。
2017/11/26
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