恋 (ハヤカワ文庫 JA コ 2-1)
恋 (ハヤカワ文庫 JA コ 2-1) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
タイトルとは裏腹に重い、シリアスな物語でした。タイトルから勝手に素敵な恋物語を想像して手に取りましたが、裏に書いてあるあらすじを読むと「ん?コレは・・・」と思い、読み始めるとアッという間に小池さんワールドへのめりこんでしまいました。直木賞受賞作品は当然のコトと実感できる文章の素晴らしさをこれ以上ないくらい堪能できること間違いなしです。小説という枠組みをはるかに超えた文学の域に位置する作品でした。本作が小池さん作品の初読みだったので、その後次々と読了してしまったくらい、小池さんの世界に完全に虜になりました。
2010/09/21
美登利
とても淫靡だった。世代的には私は経験してない(生まれてはいたけれど)時代背景があって、それを含めての想像もつかない世界の出来事のようでいて、まるで自分もその世界を堪能してる気分に陥って読んだ。官能シーンはさほどないのだけれど、目の前で繰り広げられる行為と秘められた行為の差は有るのだろうか?25年前に溯って語られる軽井沢の風景は今はどうなのだろう。きっと私が若い頃ともまた違うのだろう。片瀬夫妻が布美子を気に入った理由は今ひとつ掴めなかったけれど、夫妻には充分魅了された。阿刀田さんの解説も逸脱。
2018/02/02
藤月はな(灯れ松明の火)
極彩色の花々を散らしたような薄氷の上に立つような心許なさがある。富美子は一生に一度の恋に堕ちたのだろう。但し、恋した対象は特定の人物でなく、永遠に続くかと思っていた甘美な関係性であっただけで。そして恋は余りにも盲目で純度が高いと人を目も当てられない程、みっともなくさせる。雛子も富美子もそうだった。でも私は富美子の押し付けがましさよりも雛子がこの関係に持っていたであろう寂しさや倦怠を思うと苦しくってしょうがない。そういう私はもう、大久保のような人間だ。でも真っ当さが人を救うとは限らないのも知っている。
2018/07/24
もりくに
小池さんの短編小説をいくつか読んで、物語の作りの巧みさと、つややかな文章に魅了されたので、初期の代表作「恋」を。主人公の一人(主人公は四人?)矢野布美子が言うように「健康的な」恋ではなかったが、めくるめくような「恋」。話は連合赤軍事件を調べていたライターが、事件を報じた新聞の隅に見つけた、一人の若い女の犯罪から始まる。軽井沢の別荘で男性を猟銃で射殺、もう一人の男性に重傷を負わせたもの。この事件を書きたいライターは、布美子にやっとインタビュー。「私はあの事件に関して、大きな秘密を抱えています」と布美子。→
2022/07/03
らすかる
最初は「恋」とゆうタイトルとこの登場人物たちがどうつながるのか全く読めず、それ故に分厚いにも関わらず一気読みしてしまいました。普通でいったらありえない片瀬夫婦の関係も、ふうこ目線で読んでいるからか私まで魅了されてしまって(/ω\) 倫理観とか何処吹く風で羨ましいとさえ思っちゃいました。まるまる人を好きになるとこうなるのかな?嫉妬や束縛がない究極のカタチなのかな?静かなのに内に秘める熱量のすさまじい「恋」。素敵な作品でした!オススメしてくれた読友さんたち、ありがとぅ~🎵
2019/05/18
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