清水義範の作文教室 (ハヤカワ文庫 JA シ 1-1)
清水義範の作文教室 (ハヤカワ文庫 JA シ 1-1) / 感想・レビュー
niisun
昨年読んだ『国語入試問題必勝法』も面白い本でしたが、こちらも、とても知己に富んだ作品で、清水さんの学校における国語教育に対する問題提起が熱く語られています。実際に清水さんが行った小学生を対象にした作文の添削指導を基にしたもので、指導を通して、子供達の作文が飛躍的に良くなったり、スランプに陥ったり、後退したり(笑)が、時系列に並ぶ子供の作文から直に伝わってくるのがとても面白かったです。鋭い観察眼は発揮するが感情を語らない子から、情緒的視点に拘ってしまう清水先生の方が逆に指導のあり方を学ぶところが素晴らしい!
2016/09/06
africo
清水義範が名古屋の塾で小学生向けに行っていた作文指導の記録である。児童の作文、それに対する清水のコメント、概ね月別のまとめ、の繰り返しの構成で、4月から1年間の子供達の変化が追体験できる。小学生の作文は基本つまらないが、それは清水が指摘するように子供が「いい作文」を書く様に身体化させられてしまっている。清水はその、道徳を国語に担わせようとするやり方を批判しており、子供にはめられている枠をそれとなく外すことに腐心している。国語=道徳については、石原千秋の『国語教科書の思想』で触れられていたように根が深そうだ
2021/05/21
モリヤス
著者の清水先生は、生徒の中に観察文や報告文ような、感情の叙述が少ない文を得意とする女の子がおり、前半でその子のことを「心がないのでは」と思った、と書いている。次男がまさに同じタイプで、私も同じことを考えていたので、ものすごく興味深かった。でも、指導を続けるうち、それがその子の才能であり、矯正するのではなく、才能をのばすのが正しいと書かれていて、納得。「書くこと」自体がすばらしい!
2021/06/24
wasabi
この本は、作文をどう書くと良いのかを教えてくれます。でも、本当はどう指導すれば良いのかということが、清水さんの伝えたいことなのです。だから、たくさんの学校の先生が読んでくれるとすごくいいなと思いました。
2006/08/14
h_hukuro
子ども達に作文を教えつつ、先生自身も学んでいく様子が理想的な関係に思えました。「よい作文」の呪縛は子どもだけでなく大人になっても解けないものです。
2022/05/16
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