宇宙探査機迷惑一番 (ハヤカワ文庫 JA カ 3-28)
宇宙探査機迷惑一番 (ハヤカワ文庫 JA カ 3-28) / 感想・レビュー
ヤギ郎
神林長平の初期長編作品。「脳天気」がキーワード。脳天気な物体、脳天気な言語思考装置、脳天気な隊員たち。この脳天気ばかり登場する物語の結末はいかに。ファースト・コンタクト作品の要素を織り交ぜながら、言語や自己認識を探究する、神林長平の普遍的テーマが描かれている。
2019/10/21
シタン
梅田で発見した初期の傑作。時は宇宙、処は未来!ギャグ色が強く、特に冒頭は秀逸だと思うのだが、不条理な状況をシリアスにせず脳天気に記述していく著者の脳内にある言語駆動装置に身を捧げているうちに、平行宇宙にまつわるSF的状況に遭遇する。自らが死んでいる平行宇宙は別の作品で遭遇済みだが、このひねり方は実に興味深い。比較的短い中に様々な要素が詰め込まれており濃密な一作。
2024/10/24
活字スキー
トニたけ先生の表紙イラストに導かれ、期待と不安のブレンディッドウイングボディで宇宙の向こうまでFly away!30年前にして既にこれほどかわゆい探査機を描いていたとは……神林先生マジ予言者。クールでロジカルでメカニカル、そんでもって能天気かつ理解を超えた存在とのコミュニケーション。若かりし長平兄貴が楽しんで書いてる感がビシバシ伝わってくる良いSFでした。すなわち、うんたらかんたらであって、そもくれまひれくる
2015/02/07
おぎにゃん
平行宇宙を渡り歩く「迷惑一番」とその本体たる「私」に巻き込まれた雷獣小隊の面々が、平行宇宙で織りなす、ドタバタ喜劇。ギャグ満載のドタバタの中に、平行宇宙とは、機会知性とはどんなものかが、分かり易く取り込まれ、ラストはそこはかとなく哀愁さえ漂う。喜劇を書きこなすのは難しい…と言われるが、さすがは神林長平さん。傑作である。
2014/02/17
腰ナス
ドタバタでコメディ風だけど最後の力強さというか何とも言えない寂寥感が良い。主人公はいつもどおり色々考えはするけれど動く時はスパッと動くのでダレなくて良い。宇宙に浮かぶクエスチョンマークとか生の腕が字を書き残してるとかシュールの絵面をひたすら敵の攻撃だと考えるあたりのノリが好き。荒唐無稽な状況に対して敵の攻撃、と考えて対応しようとするスタイルが何だか前向きでかっこいい。会ってからはほとんど笑いっぱなしの教授の能天気さも良い
2017/10/14
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