第六大陸 (2) (ハヤカワ文庫 JA オ 6-2)
第六大陸 (2) (ハヤカワ文庫 JA オ 6-2) / 感想・レビュー
文庫フリーク@灯れ松明の火
ほぼ順調だった1巻から、物語はトラブル・事故との闘いに。1979年実際に締結された国際条約「月協定」よもや月面基地建設SFで、ハーグ・国際裁判所での裁判シーンを傍聴することになろうとは。伏線となった勝因は、1巻では余分と思えた受信アンテナ。アメリカ・ロシア筆頭に、世界の宇宙機関が周回軌道上に捨てたゴミ「スペースデブリ」 10センチ以上のデブリ(ゴミ)はレーダー探知で回避可能・1センチ以下は宇宙船の防御壁でカバー。その中間・数センチのデブリは「1インチデビル」と呼ばれ防ぐ方法が無い。その1インチデビルに→
2014/10/25
GaGa
楽しく読めました。月面での料理人は南極観測隊の料理人を選択や、宇宙デブリの処理の問題など、リアリティある部分は中々だと思う。ただし、エンターテイメントとしてのSFとしての面白さは欠けると思う。これだけのプロジェクトで死者一人と言うのもなんともな。でも、この作品にはとても夢が込められている。それだけでも読む価値はあり。
2012/03/21
すしな
093-23.今回はテクノロジーよりも、政治や人間ドラマが中心だった感じでした。それはそれで面白かったです。宇宙開発の先陣を切っている大国はれぞれの国益や国家の威信をかけての勝負なので、なかなか協力して何かをするには至らないのですし、当の第六大陸陣営もここに来て不運な事故も重なって、あわや断念か?という状況まで追い込まれます。こういうピンチのときこそ、お互い人間同士意地をはらずに、何を求めて求められているのかを再確認する1on1って大事だなぁというのが感じられる内容でした。
2023/09/02
kinnov
空へ。月へ。星へ。どこまでも進んで行きたい想いは、人の本能だ。少なくとも狩猟系の血の。一粒の種が、芽生え、上へ上へと伸びて花咲かせるのと同じように。そうした人の想い=月へ降り生活するを、現実の課題として設定し、シミュレーションしてみせたこの作品が面白くないはずがない。土木、建設、宇宙航空工業、物造りに真摯に向き合い働く男と女たちが主役陣ならなおさらだ。約束事のオンパレードで構わない。胸踊り、目頭を熱くし、理不尽を怒り、結束と行動の結果に快哉を叫ぶ。彼らと共に夢を形にし、次の夢を見る楽しさを与えてくれる。
2024/04/10
ntahima
こんな話が読みたかった。ハードSFと言うと相対性理論や量子論的宇宙論がバンバン出てきて内容理解に四苦八苦するものを想像しがちだが、本作は物理学理論ではなく最新の工学技術を基盤にして、もしかしたら既にありえたかも知れない世界を描いている。性善説に基づく希望の物語であり、『宇宙には国境がない』の言葉通り、月では米中日が国家の壁を越えて協力し合う。月を目指す少女の動機が父娘間の葛藤(それも父親を責めるのは酷な)である言うのが些か玉に瑕ではあるが全体的には良く出来た作品と言えよう。今年最後は『下町ロケット』で〆!
2011/12/28
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