サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)
サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA) / 感想・レビュー
おかむー
頭でっかちなヒネた高校生のモノローグ形式と、おなじく頭でっかちなヒネクレ者の仲間たちの屁理屈合戦。これでもかと詰め込まれ本筋が見えづらい薀蓄の羅列。くどくど何度も繰り返される「あのときの僕たちは知らなかったんだ…」。もうとにかくイライラさせられます。『もっとがんばりましょう』。思春期まるだしな閉塞感からくる現実逃避の“プロジェクト”、メインの軸になるタイムトラベルに、多少の薀蓄をちりばめるぐらいなら面白く読めるのだろうけれど、むしろコテコテに薀蓄で塗り固めて原型を止めない有様では楽しめないのですよ…
2014/12/31
シタン
忘れもしないあの奇妙な夏。幼なじみの少女が、時空を跳んだ。たった数秒間だけ。 この謎を解き明かそうと、高校生五人組のプロジェクトが立ち上がる。無数のタイムトラベルSFを資料として議論する場面を筆頭に、様々な文学や学問に言及しながら進んでいく一人称のスタイルが好み。ハーレクイン・ロマンスにタイムトラベルものが多いのは知らなかった。 お気に入りのフレーズが多い。「便利」という言葉ほどひどい侮辱はない。実用的な目的のためにやってるんじゃないのだから。「読む」というのは、つまり読むこと以外の報酬がないってことだ。
2020/07/30
白パラガス
これは時間旅行(タイムトラベル)の物語だ。それでいて、いわゆる「頭がいい」高校生たちの青春を切り取った夏の物語でもある。本書には様々なタイムトラベル(TT)の作品が登場し、その分類まで作中で行っている。ハインラインの『夏への扉』すら読んだことがないSF初心者の私は、一抹の不安を抱えながらも読み進めていったが…何とか読むことができた。色んな作品のオマージュが散りばめられていたようだが、元ネタを知らない私はそれらを楽しむことができずに残念。それでも「わかんないなりに楽しいの」という悠有の言葉とともに第2巻へ。
2021/12/20
ヤギ郎
夏休みのタイプトラベルストーリー。仲良し高校生五人組の一人が突然タイムリープをする。その原理の究明を夏休みのプロジェクトとして彼らは動き出す。社会に対する反抗心と純粋な知的好奇心,フィクションに生きる心を高校生として体験する。SFマガジン編集部編『ゼロ年代SF傑作選』では本作品をゼロ年代SFの一つとして紹介する。
2019/06/24
うえぴー
初カズマ。全2巻の前編。夏、高校生、タイムトラベル。いかにもなガジェットを満載しつつ、土地の記憶、遺伝子工学、脳神経系の難病、といった要素も。未来から過去を振り返る構成であるため、本書で言及された4象限に当てはめれば<悔恨欲>+<過去改変不可>になるかな。大切なものを失うことが確定している叙述なので、読み進めるほどに、切なさが込み上げてくる。先を読みたいのに、読み終えたくない矛盾。後編でどんなラストを迎えるのか、楽しみでもあり、怖くもあり。
2016/07/27
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