ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1)
ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) / 感想・レビュー
ゆかーん
2000年~2009年のことをゼロ年代と呼ぶようです。海猫沢めろんさや西島大介さんなど個性的な作品が多い中、今回もっとも感動した作品が長谷敏司さんの「土の豊穣」でした。英語が世界で一般化され、日本の言語や文化が失われそうな未来で、人類がいかに民族文化の根を絶やさずに生き残れるかに着目した物語。ITPシステム(経験伝達言語)を日本人向けに開発し、我々の文化をこの世に残すこができるのかを問いています。技術発展の影響で、日本文化が消滅しないよう、保存・維持の方法を考える時代が迫っているように感じました。
2017/03/28
とくけんちょ
ほんとSFには、心をワクワクさせるものがあります。確かに合う合わないはあると思いますが。ベタですが、マルドゥックシリーズ、収録されているこの一作を読むだけのためであっても、本書を手に取る意味がある。実現しない世界観、それがサイエンスフィクション、筆者のカラーが出るのは当たり前。だからこそ、このような作品集で好みの作家を見つけることが、頭だけで敬遠せずに、SFを楽しめるチャンス。ジャンルに好みはありますけど、幅を広げてみるのも無駄じゃない
2019/01/28
ぜんこう
全体に僕には合いませんでした。秋山瑞人「おれはミサイル」がミサイルとそれを搭載する航空機の会話というのが面白かった。唯一印象的だったのが、海猫沢めろん「アリスの心臓」のこれって、どうよ(^_^;) → エロい本であるところの二次元…が男子を三次元的立体として屹立させるとしたら…本物の女の子=三次元は、男子の全身を四次元的に昂ぶらせることが可能ではないかと…思うのだが
2017/10/13
マウリツィウス
【「零」の刻む意味】「ゼロ年代」が実際に「神話を終焉させた」のではなく「神話を復元させた」事実を確認前提、古典主義化された文壇への批判根拠もまた含める。よって古代ギリシャの遺産を継承するのではなく情報メディア媒体から導き出された短編選集の意味とは《古典時代の復元意味》でもあり古典論説を否定する機能は含まれないことからも神話時代を彩る方法論を無意識踏襲したことが踏まえられるだろう。古代と古典を遮るのではないポストモダン批判に従来意義が介在、ゼロ年代に本来は含まれない「伊藤計劃」の称号を敢えて再記録した編纂。
2013/07/30
naimon
SF短篇集。の中の「おれはミサイル」は名作。さすが秋山瑞人。戦闘機モノで専門用語も出てくるが、それを理解せずとも大丈夫。ラストの一文『誰もいなくなった2081で、EMPシールドに囲まれた炎をひとり見つめて、私はそんなことを考えている。』が印象深い。名作「猫の地球儀」にも似た、この読後感がたまらない。
2012/03/19
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